キガリ到着
アムステルダムから8時間の飛行で、KLM機はルワンダの首都キガリに到着。
キガリ空港でタラップを降りる。数日前に見た、ロメオ・ダレール司令官をめぐるドキュメント番組は、キガリ空港で、彼が飛行機から降り立つことろから始まっていた。したがって、初めての僕にも、少し馴染みのある場所だった。
「自分が今そこの場所にいる。」
僕は感慨深かった。番組の作られた十四年前と同じく、乗客はタラップから地上におり、歩いて小さなターミナルビルへ移動する。あたりはすっかり夜の気配。気温は二十三度と案内があった。少し湿った空気が肌にも、喉にも心地よい。ヨーロッパの空港のように、ロープが張ってあったり、係員が指示するわけでもない。降り立った乗客は三々五々という感じで、「Arrival」と書かれた建物へ向かって歩いていく。
雨は降っていない。ルワンダは一月から五月までが雨季。Gさんからは、最近特に雨が多いので、雨具の用意と、ぬかるみにも歩ける靴を持って来るように言われていた。前日にキガリの天気予報を調べたら、今日から一週間ずっと雨だった。
「晴れている！」
これは嬉しい誤算である。
先ほども書いたが、その日は朝四時半に英国のハートフォードシャーにある自宅を妻と車で出発。ヒースロー空港で妻と別れ、朝六時半の飛行機でアムステルダムへ。そこで一時間半ほど待ち合わせた後、KLMオランダ航空のキガリ経由、エンテベ行きのエアバス三三〇に乗った。十時四十五分定刻にアムステルダムを出発した飛行機は、きっちり八時間後の十八時四十五分にキガリ空港に到着。ウガンダのエンテベまでいく乗客を残して、半分くらいの乗客が降りた。
途中、サハラ砂漠の上を延々と飛んでいたはずなのだが、僕は通路側の席だったので外の景色は見えない。最初数時間は窓から明るい光が入ってきていたが、窓の外が次第に紫色になりはじめ、最後は真っ暗になった。間もなく飛行機は下降を始めた。緯度の高いヨーロッパでは、今頃九時ごろまで明るいが、赤道に近い地域であるので、きっちり六時過ぎには暗くなるのだ。
入国審査で三十ドルを払ってヴィザをもらう。そこを通り抜けると、Gさんが待っていた。先にも書いたが、
「一度キガリへ行くからね。次はキガリで。」
と言って京都で別れたのが一年前。一年ぶりに約束を果たせ、再会が実現した。それもお互い元気で。これほど目出度いことはない。
「おなか減った？」
「うん、結構。」
「エチオピア料理食べたことある？」
「ない、行こうや。」
ということで、僕たちは空港から、Gさんの四輪駆動車に乗ってエチオピア料理店へ向う。暗くので、周囲の様子が良く分からない。分かるのは、周囲をおびただしい数のオートバイが走っていること、信号に、「後何秒で信号が変わります」というカウントダウンが付いていること、更に、赤信号であっても、車が来ないと分かったら、車やバイクがガンガン突っ込んでくることだ。オートバイは二輪タクシーで、僕のニックネームと同じ「モト」と呼ばれているとのことだった。
ルワンダで最初の食事はエチオピア料理。