九州へ
車窓から見た福山城。列車から一番よく見える城だと思う。
十六時二分、福山に停車。
駅の正面に、瀟洒な天守閣を持つ福山城が見える駅。お城から一番近い場所にある駅ではないだろうか。駅から見える城を一度間近に見たくて、博多からの帰り途中下車したことがある。城の写真を撮るが、夕闇が迫ってきて、窓越しに撮る写真もこれが最後になるだろう。
十六時二十六分、広島に停車。
外人の団体さんが降りて、車内は半分くらい空席になる。広島の原爆記念館は、外国人。特に米国人の旅行者には是非見ていただきたい場所である。広島カープの久しぶりの優勝で、盛り上がった広島。しかし、カープはセリーグではぶっちぎりだったにも関わらず、日本シリーズではあっさりと日本ハムに実力負けを喫してしまった。交流戦もパリーグの圧勝。どうして、パリーグのチームはそんなに強いんだろう。
十七時十七分、小倉に停車。
いよいよ九州。関門トンネルを潜った九州最初の駅である。辺りはもう真っ暗。窓の外を見る意味がない。列車に乗っている以外何もしていないが、さすがに疲れてきてウトウトする。しかし、これくらいで疲れていてはシベリア鉄道の旅はおぼつかない。ちなみに今日の走行距離は、新函館北斗から東京までが八百六十二キロ、東京から鹿児島中央までが千四百五十三キロ、計二千三百十五キロになる。それを十三時間六分で移動するということは、平均時速が百七十六キロ。待ち時間を入れての平均時速であるから、いかに新幹線が高速であるかが分かると思う。
十七時三十四分、博多に停車。
僕の姉は、北海道から福岡に引っ越したため、博多駅には姉を訪れた際何度も降りている。京都同様、降りずに素通りするのは何だか変な気がする。
博多からは九州新幹線のテリトリーになり乗務員も交代する。車内放送は博多までは日本語と英語であったが、博多からは日本語と韓国語と中国語。やはり、九州は韓国と中国に近いのだろうか。韓国の朴大統領は、任期満了を待たず辞任すると発表したことが社内のテロップに流れている。ところで、英語でも韓国語でも中国語でも、新幹線は「シンカンセン」なのである。僕は外国人の友達には「ブレット・トレイン(弾丸列車)」と説明しているが、「シンカンセン」というのは、国際語になりつつあるようだ。
十七時五十分、新鳥栖に停車。
長崎へ行く人はここで乗り換えるらしい。
暮れなずむ福岡の街。間もなく車窓からは何も見えなくなった。