青葉城恋歌
昨日は車窓からきれいな山々が見えたのだが、今日はちょっと無理。
八時四十四分、盛岡に停車。
盛岡に着く前、トンネルの合間に、列車は「七戸十和田」(しちのへとわだ)、「八戸」(はちのへ)「二戸」(にのへ)という駅に停車した。八戸からは雪が消えて地面が見えている。
盛岡で、僕は一度降りなくてはいけない。座ってた席の指定は盛岡まで。盛岡からは誰かがこの席に座るからだ。盛岡には六分も停車する。秒単位で走る新幹線にしてはずいぶん贅沢な停車時間だが、ここで、十両連結の「はやぶさ十号」の後ろに、秋田から来た「こまち十号」七両を連結しなければいけないからだ。東北新幹線はこの「連結、おつなぎ」が大好きで、山形新幹線の列車「つばさ」を福島までつないで行って切り離したり、盛岡まで秋田新幹線の「こまち」をつないで行って切り離したり、盛んに行っている。「こまち」のお客さんに急病人が出たとかで、発車は更に五分遅れた。いくらダイヤをキープすることが大切だと言っても、お客さんの健康には代えられないよね。一度降りた僕は、七号車の席がひとつと空いているのを見てそこに座った。いよいよ「流浪の民」状態になってきた。
盛岡から大宮まではトンネルはあるものの、沿線の風景を結構楽しめる、と思っていたら、今朝は雨と霧。車窓からの風景は期待できない。前日、僕は宇都宮から同じ線を逆方向に辿ったのだが、宇都宮からは雪を頂いた男体山見え、その後は蔵王、会津磐梯山、仙台を出てからも北上山地の山を存分に楽しめたのに。僕は沿線の風景を楽しむことをあきらめ、日記を書き始める。
九時三十三分、三分遅れで仙台着。
盛岡まではチマチマと各駅に停車していた「はやぶさ」だが、ここへ来て超特急の本領を発揮。「新花巻」、「北上」、「水江江刺」、「一ノ関」、「くりこま高原」、「古川」の六駅を一挙に通過する。時速二百キロ以上のスピードで通過するので、駅名なんてもちろん読めない。時刻表で確認するだけである。盛岡発は五分遅れだったので、仙台までで、二分取り戻したことになる。仙台でも僕は一度降りて、次の空席を捜す。
昨日、宇都宮から乗った「やまびこ」から、仙台駅で「はやぶさ」に乗り換えた。その時に気づいたのだが、仙台駅で、列車が発車するときに鳴る音楽が佐藤宗幸の「青葉城恋歌」なのだ。
「時は廻り、また夏が来て、あの日と同じ、流れの下」
これも名曲。でも、一九七〇年代の歌でしょ。四十年経った今でも使いますかね。時を越えて歌われるのが本当の名曲なのかも。前々日、京都から東海道新幹線で東京まで向かったが、車内アナウンスの際に流れるメロディーは、「良い日旅立ち」、山口百恵。
「あ〜あ〜、日本のどこかに、私を待ってる人がいる」
連結の大好きな東北新幹線。多分枝分かれしていて、目的地が多いからなんだろう。