餃子作り
エレンさんの作った料理。これ、晩飯ではなく、昼飯。お昼からワインも抜かれている。
ゾイの母、エレンさんは学校の事務をやっておられるが、二日に一度は「テレワーク」。その日は朝から息子たちのマンションに来て、仕事の傍ら、孫の世話とか食事作りをやっておられる。その日は仕事の帰りに、夫のハンさんも来られるので、彼らは二日に一度、孫の顔を見ることができるのだ。ハンさん夫婦は、車で二十分ほどの場所に住んでおられ、まさに、「スープの冷めない距離」。僕たちは、年に一度孫に会えるかどうかというところなので、恵まれた境遇だと思うが。
「でも、孫の顔を見られない日は、とても寂しいわ。」
とエレンさん。そんなものなのでしょう。
エレンさんは、孫の世話をするとき、中国語、彼女の故郷の北京語で話しかけている。(中国語には北京語、広東語という二つの大きなグループがあり、発音は全然違うし、語彙までも違っている。)エンゾーは、毎日英語と北京語を聞いて育っているわけで、その二つが彼の将来の母国語になるんだろうと想像する。残念ながら、日本語の入る余地はなさそう。
前回、北京で結婚披露宴があったとき、ハンさん、エレンさんの親族とお会いした。皆中国語しか話されず、お話ができず、とても残念だった。その後、僕は一念発起、北京語の勉強を始めた。以来二年、僕はシンガポールに発つ直前に、中国語検定の四級に合格していた。検定は六級が最高レベル。(英検一級みたいなものかな)北京に一年間留学していた息子は、五級を持っている。今回も、ゾイや彼女の両親と、北京語で話すのを楽しみにしていた。結果は・・・一対一の会話だと結構通じた。でも、彼らが普通のスピードで話す会話は、皆目分からない。
「まだまだ修行が足りない。」
エレンさんは料理の達人。昼飯に、実にいろいろな料理を作ってくれた。もちろんどれも中華料理である。中華料理って、脂っこいという印象があるが、あれは広東料理であるという。エレンさんの作る北京料理はどれも薄味で、自然の味を最大限に生かしたものだった。北京料理は「蒸す」ということが多いようだ。彼女の、白身魚を蒸して、さっとタレをかけた料理は逸品だった。僕も料理には興味があるので、色々尋ね、勉強になる。
彼女が娘たちと一緒に餃子を作ったことがある。北京語でも同じ字を書くが「ジャオズ」と発音。エレンさんの作るジャオズは、中身の具に青菜を使い、中が緑色できれい。皮はこねた小麦粉を適当な大きさにちぎり、小さなすりこ木、ローラーみたいなもので伸ばして作る。その手際の良いこと。包み方をエレンさんに教わった娘たちが包んでいく。包み終わったジャオズは、熱湯で茹でる。それが普通らしい。できたジャオズを皆でつまむ。ゾイはコーヒーと一緒に食べている。
「コーヒーと餃子って合うのよね。」
とゾイ。色々な食べ方があるようで。
餃子は、緑の中身が透けて見えて、美味しそう。