マッサージパーラーの謎
タイの絵葉書や観光案内に必ず登場するのがこの海岸。
翌朝は雨の音で目が覚めた。明け方から激しい雨。雨の中をプールへ行って泳ぐ。どっちみち濡れるんだもん。朝食は今日もラーメン。昨日は黄色で縮れた中華風の麺だったが、今日は白くて真っ直ぐなタイ風の麺。それにタイ風のグリーンカレーも食べる。その後、部屋に帰って十一時ごろまで横になっている。雨の日も悪くない。天気が良いと、どこかへ行きたくなるが、雨が降っていると本当にノンビリできるから。
雨の止んだ十一時に、車でパトン・ビーチに向かう。何故そこを目指したかと言うと、プーケット・タウンで絵葉書を買ったとき、ビーチの写真の殆どが、パトン・ビーチのものだったから。きっときれいな場所に違いないと思ったの。
二十分ほどでパトン・ビーチの街に着き、海岸沿いに車を停める。それと同時に、「バケツをひっくり返した」ような雨になった。雨は三十分くらいで止み、その後、広い砂浜を一時間ほど歩く。遠浅の海。砂浜は二キロくらい続いている。殆どの場所は赤旗が立っており、遊泳禁止だが、ライフ・ガードの居る一部は泳げるようである。ウォーターバイク、パラセーリングなど、マリンスポーツの施設が色々とある。相変わらず、空を厚い雲が覆っている。
街の中を歩いてみる。道の両側にバーとマッサージパーラーが並んでいる。今日はマッサージを受けようと思っていたので好都合。でも待てよ。何だか素直に店に入れない雰囲気。マッサージパーラーに店にいるのは、皆、化粧の濃い、非常に若い女性ばかり。
「このお姉さんたちは、本当にマッサージのプロなんだろうか。もしそうだとしても、身体のある一部に対して、専門のマッサージを行う人たちなのではないだろうか。」
と疑ってしまう。バーにしても、カウンターに座っているお客さんより、カウンターの中の従業員の数が多い。そして、それが皆若いお姉さんたち。うーん、これも何か別の意味のあるような気がする。
「アイスクリームを食べようよ。」
と妻が言うので、カフェに入って、マンゴーとキウイのアイスを注文する。それなりにボリュームもあり美味しかった。カフェの前で、従業員の若い男性が客を引いている。相手によって、色々な言葉を使い分けている。白人には英語、中国人には中国語、韓国人には韓国語で。明らかに日本人と分かる、若い男性が店の前を通った。すかさず、客引きお兄さんが日本語で叫ぶ。
「ちょと待てちょと待てお兄さん。」
「よう勉強したはるわ、ここのお兄さん。『ラッスンゴレライ』まで知ったはる。」
僕は彼の商売熱心に感心してしまった。
その日は、もう一箇所ビーチへ行く予定にしていたが、三時前にはホテルに戻った。というのも、道に迷ってしまって行けなかったの。たまに出て来る英語の標識だけが頼りでは、そんなこともあるよな。ホテルに戻って、またプールで泳ごうかと思ったが、雨だけでなく、雷がゴロゴロ鳴りだした。さすがに、プールは止めて、部屋でゴロゴロして過ごす。
この赤いボックスカーがプーケットのタクシー。