ラクサ
エビとロブスターの山。思わず興奮してしまう。
息子は、ジャクリーンという二十代後半の、細身で可愛いアジア系のお姉さんと、コンドの一角を分け合って住んでいる。ふたりの関係は「お金を節約するために、ひとつの物件を共同で借りているパートナー」とのこと。彼らの間には単にビジネス関係のみが存在し、恋愛関係はないそう。事実、息子には別にガールフレンドがいるし。これもスケベな中年のおじさんのかんぐりだが、毎日若いきれいなお姉さんと一緒に暮らしていて、ムラムラときたりしないものなのだろうか。いずれにせよ、近頃の若者の割り切りはすごい。
息子のコンドに着いて、一服した後、息子が辺りを案内してくれた。コンドは「ハーバー・フロント」という地下鉄のターミナル駅のすぐ近くで、裏にヨットハーバーがあった。向こう岸は、レジャーの島、セントサ島だという、ハーバー・フロント駅の上は、「VIVOシティ」という、巨大なショッピングモールになっており、買い物にも大変便利な場所。コンドの建物の直ぐ上を、街とセントサ島を結ぶロープウェーが通っている。
散歩から帰った妻と僕は、早速五十メートルのプールで十往復ほど泳ぐ。飛行機の中で長く座っていた後なので、身体を動かすのはとっても気持ちが良い。
その日の午後、息子の会社の「ファミリーデー」がセントサ島のレストランであるとのこと。良い時に来たもんだ。午後一時過ぎにタクシーで、橋を渡ってセントサ島に向かう。セントサ島は、シンガポールの南にある島。レジャー施設が多数オープンしており、重要な観光スポット。僕個人としては、あまり興味をそそられる場所ではないんだけど。
さすがに大会社、息子の会社の「ファミリーデー」は、海辺の大きなレストランを借り切って行われていた。酒は飲み放題、食べ物も、ロブスターから子豚の丸焼きなんてものがズラリと並んでいる。そこで、妻と僕は、息子の上司、同僚に紹介された。英国人、オーストラリア人、中国系の人、インド系の人、実に多彩なバックグランドを持った人たち。
僕は、「もちろん」最初ロブスターに手を出し、最後は「ラクサ」で締めた。これが「シンガポール麺紀行」の第一弾となる。ラクサは、米で作った白い麺、日本のウドンにかなり近い。それがこってりとしたオレンジ色のスパイスの効いたスープに入っている。スープはココナッツミルクの味がする。トッピングの材料が並んでいて、料理人にそれを指定して乗せてもらう。
食事が一段落したあと、ゲームの時間があった。レストランの前の芝生で、チームに分かれて、二人三脚や、胸に風船を挟んでのムカデ競争とか、ホッケーのボールとスティックを使ってのスラロームとか、そんなゲームが行われた。息子の同僚の女性はなかなかきれいな人が多い。どうしても、彼女たちに目が行ってしまう。
シンガポールの住人は、過半数が中国系だという。しかし、昔から文化が交差する場所の女性は美しいというが、シンガポールの女性も、中国系の中に、何かしらエキゾチックなエッセンスが混ざっていて、特に美しく感じる。彼女らの魅力のひとつは、暑い土地のこと、惜しげもなく晒す「あんよ」と「肩」である。これが中年のおじさんにはまぶしい。
これがラクサ。日本人でもはまってしまう人が多い。いろんなトッピングが楽しめる。