孫との再会
新鮮な魚貝の入ったパスタは最高。それにしても、エンゾーはパスタ好き。
オーナーから家についての説明を受けている最中に、息子一家が到着。彼らは数日前、島の北部のオルビアに着き、今日、そこから車でやって来たのだった。久しぶりに孫のエンゾーに会う。八か月ぶりの再会は、もうちょっと劇的かと思ったが、ごく自然なものであった。
「ハロー、エンゾーくん!」
父親に抱かれた彼は、恥かしそうに父親の胸に顔を埋めた。やはり、血のつながりのある者同士、普段は会ってなくても、通い合うものがある。
別荘には、台所、ダイニング、リビング、三つの寝室、二つの浴室があった。また、建物の前には、広いバルコニーがった。家の裏には、広い庭があり、そこにはハンモックが掛かっていた。
「とりあえず、昼飯でも食いに行くか。」
と言うことで、僕たちは歩いても行ける距離にある、「サン・バルバラ」レストランまで車で行った。別荘に台所はあるのだが、料理するためには、先ず、食料品の買い出しが必要だ。もう、午後二時になろうとしていたが、店では、まだ沢山の人が昼食をとっていた。息子が、メニューの中から見つくろって、イタリア語で注文している。
「あれ、イタリア語も話せたっけ?」
と尋ねる。彼が英語と日本語とドイツ語と中国語が流暢なのは知っているが・・・
「サバイバルイタリアンなの。ここへ来て二、三日で、覚えたんだ。」
と言う。さすが。サルディニアは、海に囲まれているだけに、シーフードが美味しい場所。レストランにも、ガラスケースの中に、魚が並んでおり、注文すると、その中から選んで料理をしてくれる。貝のパスタとか、イカゲソの揚げたのとか、魚料理が並ぶ中で、「ウナギの塩焼き」が出色であった。蒲焼にする前の、白焼きって感じ。むっちりした舌触りが最高。醤油が欲しい。エンゾーはパスタが大好きらしく、スパゲティーをツルツルとすすっている。
彼が飽きてきたので、抱っこして、妻と、ガラスケースの中に並んでいる魚やエビやカニを見に行く。
「カニさん、エンゾーくんをパクって挟むかも。来た〜!」
と言うと、キャッキャッと声を出して喜んで、
「キタ〜!」
と言っている。機嫌が良いと、本当に可愛い。
レストランから帰った後、息子、上の娘のミドリ、エンゾーと僕が「買い出し係」に任命され、十キロほど離れた隣町のスーパーまで、食料品の買い出しに行った。七人で数日間ということで、かなり大量の食品を買い込む。帰り道、エンゾーがぐずりだした。息子が運転をしていて、後部座席は僕とエンゾーだけ。汗だくで泣き叫ぶエンゾーをなだめていると、こっちまでビショビショになってしまった。まあ、二歳の子供はこんなもの。
右側が日本でいう「からすみ」。一パック二千円くらいするが美味しい。