ロンドンとシンガポールの真ん中は?

 

庭にはハンモックがあり、ぶら下がっていると気持ちが良い。でも、蚊がいるのが玉に瑕。

 

「ロンドンとシンガポールの中間はどこ?」

答えは何故か「サルディニア」。英国に住む僕の家族と、シシンガポールに住む息子一家の合流地点が、何故イタリアのサルディニア島なのか、

「イマイチよう分からん。」

英国サイドの「休暇担当」である妻と、シンガポールサイドの「休暇担当」ゾーイが相談して決めたのだった。「イタリアが両方の真ん中?」随分偏っている気がするけど。ひょっとして、単に、嫁のゾーイがイタリア好きなのかも知れないが。とにかく、僕の知らない下ネゴが色々とあった上で、八月の終わりの一週間、僕たち家族は、サルディニア島に集合、ソラナスという村の別荘で過ごすことになった。別荘は「エアBアンドB」で予約された。

さて、僕にとって、今回の最大の休暇の目的は、孫に会うこと。孫のエンゾーは、数週間前に二歳の誕生日を迎えた。彼にはこれまで二回しか会ったことがない。前回会ったのは去年の十一月、十カ月近く前である。エンゾーの写真やビデオは、ほぼ毎週嫁のゾーイが送ってきてくれるのだが、送ってくるのは「良い子」にしている写真やビデオばかり。実際、子供は暴れもするし、泣きもする。ずっと「良い子」というわけはない。今回は、そんな生身の孫に会って、彼とジックリ過ごそうと思っていた。

「今年初めての夏や。」

八月二十四日、正午前、サルディニア島、カリアリ空港に着く。暖かい、夏の空気が身体を包み込む。実際、今年の英国の夏は、涼しいのを通り越して、寒かった。ギリシア、イタリア、スペインなど、地中海岸の国々、猛暑に見舞われていた。(もちろん日本も。)その影響が、何故か英国にまで来なかった。その朝も、ロンドン・スタンステッド空港を発つとき、気温は十二度くらい。七月や八月に、Tシャツの上にセーターを着ていることも多かった。気温は一度も三十度を超えていない。

「もう今年は、夏には会えないかも。」

と思っていたが、ここ、サルディニアに来て、初めて本格的な「夏」に出会う。携帯を見ると、当地の気温は三十二度と表示されている。

カリアリ空港でレンタカーを受け取り、島の南の端にある、ソラナスの町に向かう。山がちの島、サボテンとオリーブの木が見られるほかに、山にはこれと言った木がない。サルディニアは地中海に浮かぶ島の中でも大きい方、二万四千平方キロは、四国の一万八千平方キロより一回り大きい。

一時間ほどで、借りている別荘の前に到着。中には、大家さんのご夫妻が待っておられた。ところが、ご夫妻は、英語が全く話せない。それで、英語が話せる息子さんが、携帯のスピーカーフォーンを使って、両親の説明を英語に直してくれる。別荘は、老夫婦が昔住んでおられた家だと思う。いかにも、イタリアの田舎の民家という感じだった。

 

別荘のダイニングルーム。寛げる雰囲気。

 

<次へ> <戻る>