チヤホヤされるのは幾つになっても
エルツ城の中庭。ツアーに参加する人々三々五々集まって来る。
さて、エルツ城についても、自分で説明を書くのが面倒くさいので、また、インターネット百科、ウィキペディアの説明を引用させていただく。
「エルツ城(ドイツ語: Burg Eltz)は、ドイツ連邦ラインラント・プファルツ州トリーアとコブレンツの間、モーゼル川沿いのアイフェル山地の上に建っている中世の城である。十二世紀にそこに住んでいたエルツ家の一族が三十三代にわたって代々所有し続けてきた。・・・ビュレスハイム城、エルツ城、リッシンゲン城は、ラインラント・プファルツ州のライン川の左岸にある城で、一度も破壊されたことが無い。・・・ノイシュバンシュタイン城、ホーエンツォレルン城とともに、ドイツ三大美城に数えられる。」
「なるほど、ドイツ三大美城のひとつなのね。美しいはずだ。」
上にも書かれている通り、この城は個人所有なのであった。代々の当主の中には金持ちもいたらしく、彼らが収集した美術品、甲冑などが展示されている。
城の中のカフェで昼食を食べる。クリスティーネがフラムクーヘンというのを注文している。僕は見るのも聞くのも初めてである。またまた、ウィキペディアからの引用。
「フランスのアルザスとドイツ南部で作られている、長方形(伝統様式)もしくは円形をした非常に薄いパン生地をフロマージュ・ブランなどのチーズもしくはクレームフレーシュ(サワークリームの一種)で覆い、薄くスライスした玉ねぎとラードンをのせて焼いた、薄焼きピザに似た料理である。」
要するに、フランス、ドイツ風のピザ。若いワインと一緒に食べるのが伝統だという。その週末、少し南のモーゼル川沿いの町では、既にワインの収穫を祝い、若いワインを味わうお祭りが行われているとのこと。そこで、「つまみ」として食されるのがこのフラムクーヘンとのことだ。
三時ごろにエルツ城を出て、またアイフェル山地の道を抜けて、ボンへ向かう。その日は、夜八時のケルン・ボン空港発の飛行機で僕は英国に戻ることになっていた。ライン河を今度は高速道路で渡り、四時半ごろに空港に着く。マンフレッドとクリスティーネに礼を言って別れる。
楽しい週末だった。僕の人生の中の最も楽しかった週末の五本の指に入るくらい。何がよかったかというと・・・チヤホヤされたこと。
「モトはドイツ語が本当に上手ね。」
「あなたみたいにドイツ語を話す外国人、会ったことないわ。」
なんて、お世辞でも言われたら、やっぱり嬉しい。幾つになっても「チヤホヤ」されるのはいいもの。毎日昼休みの散歩のとき、過去二十四時間にあったことを全てドイツ語で、独り言で話したり(すれ違う人はびっくりして避けて通るけど)、通勤の車の中でずっとドイツ語のオーディオブックを聴いたり、これでもちょっとは努力しているんだから。それが少しは報われたというもの。
城内には昔の、武器、甲冑が展示してある。こんなの着たら重そう。