オン・マイ・オウン

 

「オン・マイ・オウン」を歌うエポニーヌ。

 

ファンティーヌが売春婦の一群に近づくシーン。最初に彼女は「堅気」の格好をしている。しかし、彼女が一瞬他の登場人物の影に隠れ、再度現われたときには、顔つきも着ている物も、すっかり売春婦として「身を持ち崩した」様子に変わっている。つまり、数ヶ月、数年の時間の経過が、一瞬の早変わりで表現されたわけで、この辺り、長い時間の経過を限られた時間で表現する工夫の妙と言えると思う。

九時から十五分の中休み。僕はどこにも行かず、座席にいた。何をしていたかって?まさにこの文章を書いていたわけだ。

第二幕が始まる。パリの街にはバリケードが築かれ、蜂起したマリウスやアンジョルラスは軍隊との衝突に備える。ジャヴェールは政府軍のスパイとして、民衆側に参加する。

「政府軍の様子をスパイに行く。」

と言って、彼はバリケードから出て行く。

マリウスを慕うエポニーヌは男の格好をして、蜂起した民衆側に参加する。マリウスはエポニーヌにコゼット宛の手紙を託ける。エポニーヌはそれをヴァルジャンの家の門の前でヴァルジャンに手渡す。その手紙を読んだヴァルジャンは、マリウスがコゼットを愛していること、またそのマリウスが蜂起した民衆を率いて戦っていることを知る。好きなマリウスが他の女性に夢中になっているのを知ったエポニーヌが歌うのが「オン・マイ・オウン」だ。

「わたしはひとりで彼が傍にいるふりをしていた

まるで彼が横にいるように朝まで歩き続けた

いないはずの彼の腕がわたしを抱くのを感じていた」

コゼットの手紙を届けた帰り道、エポニーヌは政府軍に撃たれるが、何とかマリウスの元にたどり着く。彼女はマリウスの腕の中で息絶える。蜂起側に戻ったジャヴェールは、孤児ガブローシュにより、彼こそ政府軍側のスパイであることが暴かれる。彼は縛られて処刑されることになる。そこへヴァルジャンが「ボランティア」として加わる。ジャヴェールの処刑を任されたヴァルジャンは、彼を殺さず逃がしてやる。

政府軍の攻撃の前に蜂起した民衆は次第に押され、人々の疲労の色も濃くなってくる。ガブローシュは足らなくなった弾薬を補うために、倒れた政府軍の兵士のポケットから薬莢を集めているときに撃たれて死亡する。マリウスも負傷をする。最後、民衆は皆殺しになるが、ヴァルジャンは負傷したマリウスを担いで地下の下水道に逃れる。

地下で疲れて休んでいるヴァルジャンの気が付かないうちに、テナルディエはマリウスの手から指輪を抜き取る。彼は遺体から金目の物を盗み取っていたのだ。ヴァルジャンがようやく下水道の出口にたどり着いたとき、そこにジャヴェールが立っていた。ヴァルジャンはジャヴェールにマリウスを医者の元に運ぶまで、逮捕を待ってくれるように懇願する。ジャヴェールはそれを認め、直後にセーヌ河に身を投げて自殺する。

 

蜂起した民衆は勇敢に戦うが・・・