仮面舞踏会での出来事

 

豪華絢爛な仮面舞踏会の場面。両側は立ったままの人形。

 

 次の出し物の案を練るオペラ座の経営陣のもとに手紙が届く。それは「怪人」からのものであった。「怪人」は次の作品でもクリスティーンを主役

で使うように要求する。しかし、経営陣はそれを無視し、カーロッタを主役に起用する。初日、カーロッタの声が途中で、カエルのような声になり、劇はメチャクチャになる。

ラルフとクリスティーンは劇場の屋上で会い、ふたりは愛を確かめ合う。そして、ラウルはクリスティーンを「怪人」から守ることを約束する。しかし、その場面を「怪人」が見ていた。嫉妬に狂った怪人は、上演中にシャンデリアを観客の上に落とす。

以上が第一幕の要約である。オペラ座の地下にある「怪人」の棲家には池があり、そこを「怪人」とクリスティーンを乗せたボートが滑るように進んで行く。その「水面」には沢山のロウソクの火がまたたいている。幻想的な場面。そして、そんな場面を一瞬の暗転で作ってしまう早業はすごい。

「宙乗り」もある。「クリスティーンとラウルの逢引きの場面を目撃した怪人」と書いたが、彼は、舞台の上に浮かぶ、鍋のような物に乗っていたのだった。その鍋にスポットライトが当たり、そこに「怪人」が浮かび上がる。彼は、その隣にぶら下がっているシャンデリアの紐を切り、シャンデリアを客席に落下させるのだ。もちろん、本当に「落下」したら、毎晩観客の中に怪我人が出るので、シャンデリアは舞台に向かって滑り降り、その後悲鳴が聞こえて、何が起こったのかが観客に分かるようになっている。

物語の中に芝居の場面が現れる、つまり「劇中劇」の部分がある。その部分が力一杯派手にキッチュにしてあるのは、本来の物語と区別が付き易いようにということだろうか。

ミュージカルの「お約束」に漏れず、一時間半の第一幕の後、二十分の休憩があり、観客はバーでワインを飲んだり、アイスクリームを買って食べたりしている。

第二幕が「マスカレード」(仮面舞踏会)の場面の場面から始まる。シャンデリア落下事件からは数ヶ月の時が経っている。舞踏会で、ラウルはクリスティーンに結婚を申し込み、彼女もそれを受ける。楽しく踊りまわる人々の中に突然「怪人」が現れる。舞踏会場は一瞬沈黙に包まれる。「怪人」は自分の書いたオペラを携えていた。彼はそのオペラをクリスティーンの主演で上演するよう要求する。

ラウルはそのオペラを通じて「怪人」をおびき寄せ、彼を捕らえようと画策する。そして、オペラへ出演するようにクリスティーンを説得する。ラウルへと「怪人」の間板ばさみになり悩むクリスティーンが自分の父親の墓を訪れる。そこにラウルと「怪人」が現れ、ふたりは対決する。「怪人」は「俺は戦い続ける」と宣言して立ち去る。

「怪人」の書いたオペラの初日。劇場は警官隊で厳重に固められ、舞台の袖でも警官が見張っている。舞台が始まる。「怪人」はいつの間にかクリスティーンの相手役の男性と入れ替わり、舞台でクリスティーンと競演する。気付いたクリスティーンは「怪人」のマスクを取り去る。

 

怪人の棲家を訪れたクリスティーン。