頭の中真っ白
久々に会う親友のヨネと・・・
新郎新婦の入場、会社の上司による祝辞、ケーキカット、キャンドルサービスと、式次第はどんどん進む。フランス料理のコースが出る。アルコールは断り、ひたすら水を飲む。
「お色直し」の間に、ふたりが生まれてからこれまでの様子がスライドで映し出される。音楽と画面の転換が非常によくシンクロナイズしている。なかなか感動的。これ、カサネの弟、ヨウの作品。
「お姉ちゃんたら、短い時間にあれもこれも入れてくれっていうけん、苦労したとよ。」
と彼は言っている。僕が大学生の頃、三歳くらいのカサネと遊んでいる写真も登場した。それを選んでくれたのが嬉しい。
友人によるカラオケ合唱があり、その後が、僕たち夫婦によるピアノ連弾だった。リハーサルをしてから三時間も経っている。指は動かず、頭は真っ白。一度間違えたのは覚えている。緊張していたのか、それ以外は全然記憶にない。
「終わった、さあ飲むぞ。」
と思うと、もう新郎新婦による両親への花束贈呈が始まっており、それで披露宴は終わってしまった。
隣に座っていたヨネに、
「ヨネちゃん、これから一杯つきあってよ。」
と頼む。彼は奥さんと息子さんと一緒に東京から来ていたが、妻子を先に帰し、新幹線の時間を遅らせて、僕に付き合ってくれるという。式場を出て、奥さんと子供さんを改札口で見送った後、午後七時半ごろまで、彼とふたり、京都駅前の居酒屋で飲んでいた。今ではロンドンと東京にそれぞれ住んでおり、彼と話すのは三年ぶりくらいだが、彼と話していると、そんな時間と空間の隔たりを全然感じない。親友というのはそんなものだと思う。
生母の家に帰ると、マユミと母は銭湯から帰って、ウドンを食っていた。僕はそのまま床に入る。今日は色々な人に一度に会った。会い過ぎた。頭が完全に飽和状態になっている。新郎タダシとその兄弟、司会者で譜面めくりをやってくれたお姉さん、ヨネの顔などが頭にクルクルと浮かぶ。眠っていても何となく落ち着かない夜だった。
翌朝起きると、食べすぎたのと、披露宴で飲めなかったのを取り戻そうと、ヨネとふたりピッチを上げたせいか、胃も頭も重い。まだ暗いが歩くことにした。千本通りから北へ、坂を登り玄光庵、釈迦谷口、今宮神社と昔のジョギングコースを一時間かけて歩く。
マユミは京都から金沢の実家へ向かうが、僕はこれからマレーシアに向かうことになっている。マレーシアのペナンで世話になるチズコには、小さな息子さんがふたりいる。スーパーマーケットで、彼等のために折り紙や工作用のセットを買う。
京都での移動はもっぱら母の「ママチャリ」なのだが、今日も暖かく、自転車を漕いでいると汗ばんでくる。全国高校駅伝大会が今度の日曜日に迫っている。自転車で走っていると、試走をしている男子や女子の高校生に出会う。
・・・彼の奥さんとジュニア。