駅伝
雪かき。湿った雪は重いので、結構腰が疲れます。
元旦の朝、九時過ぎから、義父母と妻と四人で新年を祝いました。
「明けましておめでとう。」
というのがそのときの挨拶、一年の健康と幸運を祈ります。先にも書きましたが、メインは餅の入ったスープである「お雑煮」、それに、義母が用意した「十数種類のおせち料理」が食卓に並びました。色とりどり料理は壮観です。どれから箸をつけようかと迷います。日本では、元旦の朝は、家族全員がお酒で乾杯をする習慣があります。「お屠蘇(おとそ)」という甘いお酒です。僕の飲んだのは普通の熱燗、つまり温めた日本酒でしたけれど。
朝からたっぷりと食べたので、少し動くことにしました。まずは雪かきです。ゴムでできた長靴、英国で言う「ウェリントン・ブーツ」を履いて、義父と一緒に外に出ました。プラスチックでできたブルドーザーのようなもので、道路の雪を押しのけ、道端にある水の流れる溝か、近くを流れる小川に押し込んでいきます。金沢では、道路の脇に水の流れる溝が掘ってあります。雪を入れるためなのでしょうね。溝は一杯になりますが、気温が零度前後と結構高いので、下に流れている水が、少しずつ雪を融かしてくれるわけです。金沢の人たちは実に働き者です。雪が降った日の朝は、皆が早くから起きて雪かきをしています。その日も、お休みにも関わらず、大勢の隣人たちが雪かきをし、昼までには、道路の雪はすっかり片付いていました。久しぶりの雪かきは結構楽しいものでしたが、毎日やったらきっと嫌になるでしょうし、湿った雪は結構重いので腰が痛くなるでしょうね。
雪かきの後、義母と妻とで、近所の神道の神社へ「初詣(はつもうで)」に行きました。近くの神社にお参りに行くのも、日本のお正月の定番です。その年の幸運を祈り、「お賽銭」というドネーションをします。だから、神社にとってお正月は「掻き入れ時(お金を稼ぐ時期)」と言うわけです。
テレビをつけると、「実業団駅伝」という企業対抗の長距離走リレーをやっていました。何故か、お正月には「駅伝(えきでん)」が開催され、テレビで放映されます。英国で、十二月二十六日「ボクシングデー」に必ずサッカーの試合をやるのと、少し似ていますね。駅伝というのは数人のランナーが順番に走る長距離リレーです。他の国では見たことがありませんので、日本独特のものなのでしょう。一月一日には企業対抗の駅伝があり、二日と三日には大学対抗の駅伝があります。今回、私は、三日間この駅伝に「はまって」しまいました。元旦は、「お雑煮」、「雪かき」、「初詣」を挟んで延々とテレビを見てしまい、二日と三日は、「箱根(はこね)駅伝」と呼ばれる大学対抗のレースを、これまた十時間以上に渡って見てしまいました。単に走っているだけの画像を、よく何時間にもわたって見続けられるものだと、自分でも感心します。私はずっとマラソンをやっていたので、それで興味が湧いてくるのかとも思いました。しかし、この駅伝の中継、スポーツと全然縁のないような、太ったおばさまたちにも結構人気があるということです。まあ、単純なスポーツほど見ていて面白いということなのかも知れません。
見始めるとやめられないのが駅伝中継。