衝撃の海鮮丼
余りに美味しそうなので、思わず理性を失ってしまった海鮮丼の写真。
今回、ミコノス島では、新鮮な魚を食べるのが楽しみだ。
従姉妹でメル友のサチコが、ゴールデンウィークに千葉県へキャンプに行った。その時、九十九里浜の食堂で「海鮮丼」を食べたとのこと。僕が興味を示すと、彼女はその海鮮丼の写真をわざわざメールに添付して送ってきてくれた。刺身、海老、貝などがふんだんに乗っている。それでたったの千七百八十円だという。僕はその写真を見てすっかり逆上してしまった。
夫:「オレは海鮮丼を食べるために、家族も仕事も捨てて、今すぐ日本へ帰る!」
妻:「あなた、そんなに早まらなくても。」
子供達:「父ちゃん、おいらたちのことはどうなるんね。」
夫:「うるへ〜、海鮮丼と家族とどっちが大事か、考えてみれ。」
以上はもちろん冗談だが、まさにそんな気分になったのだ。
サチコのご家庭では、キャンプ中の食事の準備はご主人の仕事だという。うちの家庭も、週末、休暇中の食事は原則的に僕が作ることになっている。昨年訪れたクレタ島では、新鮮な魚が手に入り、何度か刺身が食えた。もちろん、一匹丸々買ってきて、鱗を落とし、内臓を取り、三枚に下ろし、皮を剥いで・・・全部自分でやらなければならないが。それも楽しい。今回も、新鮮な魚と出会うことを期待して、愛用の良く切れる包丁を持ってきている。できれば砥石も持って来たかったのだが、重過ぎると、妻に却下された。
ミコノス島に行くと決まった二ヶ月前から再開したギリシア語の勉強などをしているうちに、飛行機はアテネの上空にさしかかり、高度を下げ始める。眼下にエーゲ海の島々が見え出す。高度が下がるに伴い、海の色がどんどん青味を増し、コバルトブルーに変わっていく。
「何時見ても、エーゲ海の色は良い色やね。」
と妻のマユミと言い合う。
十三時五十五分、飛行機はミコノス空港に着陸。気温は二十五度とのこと。飛行機を降りると風が柔らかい。荷物を取って外に出ると、「ママズ・ペンション」と書いた札を持った、サングラスをかけた背の高い金髪の女性が立っていた。出発の前々日、マユミが宿のオーナーに電話をして、迎えに来てくれる段取りをつけていたのだ。
「ウェルカム・トゥ・ミコノス!」
とその女性は言った。彼女、クリスティーナの車で宿へ向かう。
「飛行機、ちょっと遅れたのね。」
「ええ、何せ、ロンドンは今朝メチャ寒くて、飛行機の翼に付いた氷を取るのに時間がかかったんですよ。」
「信じられな〜い。」
そんな会話が彼女との間に英語で交わされる。
「ママズ・ペンション」の女将さん、クリスティーナとマユミ。