モトの地中海風メニュー

 

ボク、作る人・・・

 

 僕はせっせと夕食を作った。最初に作ったのは、「ムール貝の白ワイン蒸し」と「小イワシの唐揚げ」、それにオリーブの入ったサラダ。次に作ったのは「タイとスズキの蒸し焼き」、最後の日は「マヨルカ・ソーセージと白豆の炒め物」。最後の料理は前々日にポレンサで食ったタパスのパクリである。

 基本的に、今回は「地中海風」の味付けを心掛けた。「地中海風」の味にするには至って簡単。ニンニク、オリーブ油、レモンをふんだんに使えばよいのだ。例えば魚の蒸し焼きを作るときも、ニンニクをオリーブ油で炒めて、その中で塩をした魚を焼く、最後に大量のレモンをかけて食べる。魚が新鮮なら、これくらいの軽い味付けが一番合う。

しかし、今回マヨルカ島では近くに魚市場がなく、今朝釣ったばかりという魚が買えず、刺身が食えなかったのは残念。ギリシアの島々ではよく刺身を食べたものだ。包丁と砥石まで持って行ったのに。

最後の夜はどこかロマンチックなレストランで、と考えていた。

「でも、自分たちで作ろうか。」

と僕が提案する。

「そうね、外で食べても、美味しいものに出会うとは限らないものね。」

と妻。それでその日僕が作ったのが「マヨルカ・ソーセージと白豆の炒め物」だったのだ。

「一昨日レストランで食べたのと同じ味やわ。」

「でしょ、でしょ。」

作り方さえ解析すれば、そんなもんなんです。

飲み物は、ワイン「リオハ」とビール「サンミゲル」。マヨルカでは一本百五十円くらいでワインが手に入る。そのワインも結構癖がなくて美味い。ロンドンでワインを買うと最低でも五百円、しかも五百円のワインなんて、癖があり、飲み込んだら背中がゾクゾクするような代物ばかりだ。ビールはサンミゲルが上手い。椎名誠が、エッセーの中で、ポリネシアで飲んだサンミゲルが上手かったと書いている。ドイツのビールも上手いが、それはドイツの気候で飲むから。マヨルカの気候だと、やはり癖のない軽い味のサンミゲルが美味しく感じる。な〜んちゃって、ビールなら何でも飲む癖に。

「一度、わたしがご飯作ろうか?」

と気を遣った妻が言った。

「いい。アツヨみたいに、休暇中にご飯作りしたくないから、セルフケータリングはいやと言い出されたた困るから。」

実は、休暇の間、僕はすっと朝、自分で作った飯と味噌汁を食っていた。飯は一回に三合くらい炊くので当然余る。僕達はそれに塩昆布やワカメ、鰹節などを入れて、せっせと握り飯にした。ドライブに出かけて、昼ごはんはお握り。花の咲き乱れる修道院の中庭や、コバルト色をした海を前にして食べるお握りは美味かった。

 

・・・ワタシ、食べる人。