犬は健康に良い
母の家の近くの建勲神社。窓からも花見ができる。
「キャンセル!?オレはキャンセルなんてしてへんで。」
と言うと、キャンセルしたのは、飛行機会社の方。何故か、アムステルダムから関空行きの便は飛ばなくなったという。
「他の便に切り替えますか、それとも全額払い戻ししますか。」
と聞かれる。もう、日本でやることも決めているし、何より、運転免許の更新があるので、行かないわけにはいかない。結局、一日遅れで、ソウル行きの飛行機が用意された。ソウルから関空まではアシアナ航空が運んでくれるという。本来なら、水曜日の昼に京都に着けるところだったが、一日半遅れ、木曜日の夕方に京都に着くことになった。
先ほども書いたが、長い旅の極意は待ち時間を楽しむこと。遅れて当たり前、ヤキモキしないこと。待ち時間を有効に活用し、
「いずれは着くでしょ。」
くらいに考えてないと、ストレスが溜まってしまう。しかし、まあ、今回も全てが遅れたなあ。
出発が一日遅れたのは既に書いた。水曜日の朝、家を出る。飛行機の出発は正午。大抵は、家からヒースロー空港までは、タクシーで行くのだが、今回地下鉄の新線、エリザベスラインが最近開通したので、それに乗ってみることにした。しかし、事故で遅れが出て、出だしからつまずく。予定より一時間近く遅れてヒースロー空港に到着。でも、時間に余裕を持っていたので大丈夫。無事アムステルダム行の飛行機に乗れた。ところが、ソウル経由台北行きの飛行機の出発が、一時間以上遅れた。ソウルでの乗り換え時間が一時間半しかないので、心配なところ。飛行機の中で、隣の席は台湾人の若いお姉さん。北京語で楽しく話す。思いがけない中国語の練習。
翌日、午後一時半に韓国のインチョン空港に到着。乗り継ぎ便出発までは、三十分しかない。飛行機を降りると、
「カワイさん、ナガタさん、おられますか。」
アシアナ航空の女性職員が待っていた。
「時間がありません。私についてきてください。」
女性職員は小走りに進む。僕とナガタさんと呼ばれた僕より年上の女性は、女性職員の後を追い、広いインチョン空港の中を速足で移動する。荷物検査も、最優先で通過。息が切れてくる。しかし、ナガタさんは、小太りな体型なわりに、きっちりついてくる。
「スタミナありますね。」
と彼女に言う。
「私、犬を飼っていて、毎日歩いているもんで。」
ナガタさんは言った。なるほど、犬を飼うのは健康的なんだ。関空行きの飛行機にはギリギリセーフで間に合い。無事出発。しかし、案の定、飛行機は僕の荷物を積まないまま飛び立った。
御室仁和寺。有名な御室桜にはまだ少し早かった。