「でんがな」と「まんがな」の相違の分析
ご馳走を前に何となく照れているヨリコ。
地下鉄を降りた後、
「ほな、ケベ、『SMAP』のメンバーの名前言えるん?」
とユーコが逆襲の逆襲にきた。烏丸車庫とSMAPて関係あらへんやん。
「そんなもん、言えるわい。ええと、キムタクやろ、ナカイやろ、草、草、草刈正雄。」
四条の阪急電車の乗り場で、六時にオオツカGとヨリコと待ち合わせ、四人で「個室居酒屋」なる場所へ向かう。「居酒屋」と「個室」という結びつきが、僕にはピンと来ない。
「『個室』っちゅうても、別にいやらしい場所やないで。」
とオオツカG。誰もそんなこと考えてへんやん。
でも、僕は居酒屋と言うと、手拭いで鉢巻をした髭面のマスターが焼き鳥なんか焼いていて、酔った客の話し声の喧騒の中、Tシャツをの上に法被を着たアルバイトのお姉さんが働いている、そんな様子を想像してしまう。
「お姉ちゃん、生中お代わり。」
「こちら、生中お願いします。」
「へい、十四番さん、生中いっちょう〜。」
なんて雰囲気。
果たして、「個室居酒屋」はそんな喧騒とは無縁な静かな場所だった。「国際的飲み会」は四人で向かい合って、かなり上品な雰囲気で食事が始った。
「やっぱり、日本に来たらやっぱ刺身だよね。」
とか言いながら、刺身の盛り合わせを注文。(ロサンゼルスの刺身も結構いけるんだけど。)昨年に続き、サンマの刺身も注文する。でも、ちょっと静かすぎて、僕は昨年ユーコと行った、三条京阪の居酒屋「伏見」の喧騒と、おばちゃんのでたらめ振りが懐かしくなった。
オオツカGは「分析化学」の教授。彼は、大阪で教えているとき、「分析化学」の試験に、こんな問題を出したことがあるそうな。
「『でんねん』と『まんねん』の違いを書け。」
大阪以外の人には馴染みが薄いかも知れないが、大阪の人は、「そうでんねん」とか「よろしおまんねん」とか「でんねん」と「まんねん」を連発する。そのありふれた言葉の違いを「分析」せよという、なかなか厳しい問題である。
さて、その答えであるが、教授によると、名詞の後に来るのが「でんねん」、動詞の後に来るのが「まんねん」と書いた学生が満点をもらえたという。ちなみに同音異義語で『でんがな』,『まんがな』どっちが付くかの例。
・鎗でんがな/ヤリまんがな。
・木でんがな/着まんがな
・海苔でんがな/乗りまんがな
なるほどねえ。しかし、「分析化学」の試験でこの問題を見た学生は驚いただろうな。
今年も食べたサンマの刺身、場所の雰囲気はずいぶん違ったが。