あなどれないぞ回転寿司

 

 

石川県は相撲の盛んなところ。有名力士が沢山出ている。

 

その夜、僕は義母と回転寿司屋にいた。前夜は、K名誉教授と「同級生」と一緒に、超豪華魚料理を食べた。美味しかった。しかし、セットメニューだったので、量が多く、最後はかなり苦しく、無理して食べていた。

「最近、食べられる量が減ったよな。」

自分でも思う。その点、回転寿司だと、自分で食べたい物を食べたいだけ選ぶことができる。そして、

「金沢の回転寿司は美味い!」

海に近いせいか、近くに沢山漁港があるせいか、お客さんの舌が肥えているせいか、金沢の回転寿司のネタはどれも新鮮、京都の一流寿司屋といい勝負だと思う。ご存知だと思うが、「回転寿司」では、もう寿司はあまり「回転」していない。タッチパネルで注文すると、新幹線みたいな電車が寿司を乗せて、テーブルまで届けてくれる。

 久しぶりに義母としんみりと話すのもいいものだ。回転寿司屋は義母の家のすぐ近く、最近足が衰えている義母にもちょうどいい。その日の午前中、義母と妹と僕は、金沢の野田山にある墓地にいた。娘の墓参りのためだ。その二週間前、娘の遺骨が納骨されたのだった。妻や息子と娘、金沢の親族が立ち会ったが、僕はそれに参加していない。それで、その日の午前中、妹の運転する車で、墓を訪れたのだった。

「娘の墓に参る。」

これまで、考えてもいなかったシチュエーションだった。妹が、墓の周りに娘が好きだったビールを撒いていた。

そんなこともあったので、義母と僕は、しんみりとしながら寿司を食べていた。しかし、寿司の旨さには変わりはない。ウニをはじめ、ここぞとばかり、好きなものを次々注文。結構小食な僕には、ちょっと小さめの一貫がちょうどいい。金沢の地酒も旨い。

「最近暑さで食欲がないけど、お寿司なら食べられる。」

義母も、結構脂の乗ったブリなどを食べている。

 翌朝、金沢駅を十時半に出る高速バスに乗るために、九時ごろに義母の家を出る。金沢駅の名店街で、京都の母に土産を買った後、バスに乗る。京都経由「USJ行き」のバスは、例によって二度サービスエリアに停まる。そこでまたコロッケをパクつきながら、午後三時に京都駅に到着した。バスを降りると、そこには「熱風」が吹き荒れていた。

「何か、サハラ砂漠の真ん中で降りたみたい。」

何時もなら、地下鉄から降りて、十五分ほど歩くのだが、さすがにその日は、「身の危険」を感じてタクシーに乗った。家に着いて、母に、

「京都は暑いね。」

と言うと、ここ二日間、三十八度だったという。予想はしていたが、先が思いやられる。

 

 

金沢発、京都経由USJ行の高速バス。乗り換えが不要で安い。

 

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