リオープン・デー
リオープンの初日。(ボランティアのJodie撮影)
ホース・サンクチュアリの一番大切な活動が「オープン・デー」だ。主に子供たちを対象に牧場を解放し、馬に触れてもらう。サンクチュアリの活動を知ってもらうと共に、寄付を募って、活動資金を作るのである。昨年までは、四月ごろから十月ごろまで、日曜日の午後二時から四時まで行われていた。訪れた子供たちに、馬の世話の仕方を説明、実際ブラッシングなんかをしてもらう。そして、その後馬を連れての散歩をする。
ところが、今年は、ぬかるみがやっと固まり、牧場の中を、足を取られずに歩けるようになった三月下旬から、ロックダウンが始まってしまった。それで、七月中旬まで、オープンデーができなかった。金銭的には苦しい。七月十九日に、やっと、今年初めてのオープンデーを開催することになった。しかし、まだまだ「ソーシャル・ディスタンシング」が求められているので、今年は少し違うやり方にしなければ、と言うことで、ナンバーツーのトレーシーを中心に、担当が計画を練っている。
今年のオープンデーの特徴、ひとつは「完全予約制」、一回四十五分の枠を、インターネットで予約してもらう。馬の世話をしてもらうとき、間を三メートルくらい空け、散歩も林の中に作ったコースを歩いてもらうことにする。もちろん、スタッフも、お客さんも、マスク、手袋着用ということになる。
更なる違いは、一回の人数制限と、これまでのブランクを取り戻すために、昨年までは日曜日だけだったものを、平日もやってしまおうということになった点だ。日、月、火、水の週四日の午後に開催されることに決まった。学校が夏休みになっているので、平日でも子供たちは問題なく来られるのだが、他に仕事を持った人たちで構成されている馬牧場側のスタッフは、どうしても平日手薄になる。
「ねえモト、きみ、午後時間空いているときない?」
トレーシーに聞かれる。今のところ、月曜日の午後は日本語のレッスンが入っていない。月曜日ならいいよと言うことで、僕は七月と八月、月曜日の担当になった。午後一時から四時半まで。午前中はもちろん馬牧場で二時間半働いているわけで、月曜日はほぼフルタイム!
最初の日は七月二十日の月曜日だった。午前中の仕事を終え、昼飯を食って、午後一時にまた馬牧場に行くと、トレーシーがいた。
「今日は、まず、二時半から三組ね。」
と彼女がスケジュール表を見ながら言った。
「あんまり小さい子は堪忍してね。」
と僕。三歳とか、四歳の子供の英語、僕にはジョンソン首相の英語の演説より難しい。
「ぬかりはないわよ。今日のきみの担当は十一歳の男の子。」
今年の記念すべきリオープン・デー、僕のお相手第一号は、十一歳のアビー君だった。あてがわれた馬は、白黒ブチのポニー、マルコ君。動物が好きでウサギを飼っているけど、馬は触るのが初めてというアビーに、僕はブラシのかけ方の説明から始めた。
後半は、林の中を散歩する。小学校の先生のセーラが色々な小さなアトラクションを途中に作った。(ボランティアのShinji撮影)