何でもオンライン

 

在宅勤務、皆こんな素敵な部屋があれば家で働くのも楽しいでしょうね。(Bloombergのリクルート広告より。)

 

ロックダウンが始まった時、英国政府の掲げたスローガンは「ステイ・アット・ホーム」であった。

「家から働ける人は、家で働いてください。」

「エッセンシャル・ワーカー以外は、外へ出て働いてはいけません。」

というのが仕事に関する条件。ロンドンの広告代理店に勤めている末娘は、翌週から在宅勤務になり、かれこれ三カ月間職場に顔を出していない。ファストフードの店で働いていた真ん中の娘は、一時帰休者に政府が給与の八割を補填する「ファーロウ」という制度の対象になり、三カ月間お休みになった。在宅勤務、日本では「リモートワーク」、「テレワーク」と呼ばれるそうだが、英国では「ワーク・フロム・ホーム」と一般的に言われる。当然、家でも働くことのできる、オフィスワークの人が対象になるわけだ。末娘は、通勤のための時間と金がセーブできると言って、在宅勤務を歓迎していた。

馬の世話のリモートワークは無理だろうな。毎日の馬の世話は、大きく分けて「水遣り」、「餌遣り」、「ウンコ拾い」の三つだ。水遣りくらいは、パイプを張り巡らし、水流、水量をコンピューターで制御できれば、可能かも知れない。しかし、餌遣りとウンコ拾いは、一見単純作業に見えるが、結構判断が必要なのだ。凸凹のある土地を移動し、藁に埋もれたウンコの発見、回収等は、AI(人工知能)を搭載したロボットでないと難しそう。

店に人が集まるのを避けるために、オンラインショッピングが推奨された。京都の母の家にいると、「生協さん」が注文した食料品を届けてくれるが、英国でも、スーパーが同じサービスをやっている。ロックダウン中も、配達のトラックが忙しく走り回っていた。

学校は休校になり、一部はオンライン授業になった。妻は珠算教師、僕は日本語教師をやっている。僕たちのレッスンの大部分も、「スカイプ」や「ズーム」というソフトを使って、遠隔で行うことになった。妻が、家にオンライン授業の環境を立ち上げるに苦労するのだが、それは別の章に譲ることにする。

オンライン会議、オンライン授業、オンラインショッピング、オンライン診療、オンラインセックス(冗談、これは無理でしょう)、何でもオンライン。そのうち「オンライン飲み会」というのが登場した。「ビデオ会議システム」を使い、気の合った仲間が顔を合わせ、各々が持ち寄った酒を飲みながら、語り合いましょうというもの。飲み会の企画が好きな僕は、既に何回も開催した。参加者がどこにいるのかに関わらず、ご参加いただけるのはよい。この前、ロサンゼルス、ロンドン、京都を結んで高校の同級生とオンライン飲み会をやった。三か所に八時間ずつの時差があるので、ロンドンは朝の六時。「朝からの飲むのかよ」と言いながらも、結構楽しかった。

さて、ここで問題です。

「オンラインを考案した人物は誰でしょう?ヒント、中国人です。」

「周恩来(しゅう・おんらいん)!」

 

四月、馬たちは一斉に咲き始めた花と一緒に過ごす。

 

<次へ> <戻る>