英国人はジョギング好き?
一度マスクをしてジョギングをしたが、息苦しくて続かなかった。うちは田舎だからいいか、社会的距離は十分にとれるし。・
「エッセンシャル・ワーカー」という言葉もよく使われた。医師、看護婦、スーパーマーケットの従業員、警官、消防士、ゴミ収集員、公共交通機関の職員、トラックの運転手、農家、食品関係などの人々である。社会インフラを維持するために働く人々。この人たちはロックダウン中でも、もちろん働いてよい。いや、働いてもらわなければ困る。実は僕も、「エッセンシャル・ワーカー」だったのだ。「ホース・サンクチュアリ」のボランティア。ロックダウン中でも、まさか馬の世話をしない訳にはいかないもんね。
「一応、警察に止められたときのために。」
と言うことで、事務局長的な役割のポーラが「許可証」を作り、僕もそれを貰った。
「この許可証の所持人は、キーボランティアとして『ホース・サンクチュアリ』で働いています。NPOとして政府の許可を受けた本団体は、動物愛護法に従い、動物に十分な保護を与えることを保証しており、それに反したときには二万ポンド以下の罰金が科せられます。・・・云々」
自分が「エッセンシャル・ワーカー」だなんて、考えてもいなかった。その響きに、何だか嬉しかった。
一応、学校は、親が「エッセンシャル・ワーカー」の子供たちのために開いていて、僕の知り合いの女性看護師さんは、息子を学校に預けて仕事に行っていた。
先ほども書いたが、ロックダウン施行当時の条件では、「エクスサイズ」「運動」関しては、「屋外で、一人一日一回一時間以内、家族以外の人とは別に」ということだった。まあ、運動は人間の健康にとっても、精神衛生にとって、とても重要な位置をしめていると思うので、いくらロックダウンと言っても、運動まで禁止できなかったのだろう。僕は、毎朝、二時間、馬牧場で肉体労働をしているので、全面禁止でも別に問題なかったんだけど。でも、他の人たちはそうはいかないもんね。
「あなた、毎日馬牧場で肉体労働してるから、もうエクスサイズしなくていいんじゃない?」
と妻は言う。しかし、仕事と、スポーツは別。ロックダウンの有無に関わらず、僕は週に二回ジョギングをしていた。
「英国人って、こんなジョギングの好きな民族やったっけ。」
僕は、ロックダウン始まった週の火曜日の午後、家からジョギングを始めて驚いた。普段、走っている人はそれほど見かけないのに、その日は、普段の三倍から四倍、走っている人や、急歩をしいている人がいたからだ。
「公園もダメ、ジムもダメ、プールもダメ、サッカーもダメ、パブもダメ、カフェもダメ。これじゃ散歩かジョギングしかやることないよな。」
僕はそう考えながら走っていた。歩道を走っていると、向こうから別の若い女性ランナーが来る。
「そうそう、『ソーシャル・ディスタンシング』やった。」
僕は、すれ違う時二メートルの間隔が取れるよう、歩道の端に避け、彼女に道を譲った。
春本番、暖かい陽光の下でまずすることは・・・当然、お昼寝。