日曜大工で作った家

クラウスがスクラップから直したハーレーダヴィッドソン、新品のようにピカピカ。

 

十二月七日土曜日、その日は、昔の友人の二家族を、午前と午後に訪れ、夜はジギとマーゴットと一緒に、マーブルクのクリスマスマーケットを見に行くことになっていた。クリスマスマーケットは、日中見るよりも、夕方から夜の方が、イルミネーションが映えてきれいなのである。

例によって、僕は、スープとブレートヒェンで朝食。その後、モルンスハウゼンという村に住む、昔の同僚、ドヴォルシャーク夫妻に会いにいく。彼らに会うことは、当初予定になかった。しかし、彼らの住む村が、ジギ夫婦の住む村から車で十分ほどの距離であることを思い出し、昨夜電話を入れた。

「せっかくだから、ちょっと顔を出してよ。」

と奥さんのコニーに言われて、十時に約束をしたのだった。昔の記憶を辿って、彼らの家に着こうとするが、前回来たのは十三年前。さすがに、思い出せず、何回か道を尋ねながらドヴォルシャーク家に着く。この家は、ご主人のクラウスが「日曜大工」で、自分で作ってしまったという家である。

玄関のベルを押すと、奥さんのコニーが顔を出した。昔、僕がこの近くのファスナーの工場の生産管理課で働いていたとき、同じ職場で、隣の席に座っていた人だ。旦那のクラウスも同じ工場で、エンジニアとして働いている。娘さんが二人おられる。

「娘さんはどうしておられるの?」

と聞くと、同じ村に住んでおられるとのこと。うらやましい気がする。僕のような立場になると、おそらく、将来子供たちとは、別々の町どころか、別々の国に住むことになるだろう。それだけに「同じ村」と聞くと、うらやましい気がするのだ。

間もなく、クラウスが戻って来る。彼の現在の趣味はオートバイ。廃車になったハーレーダヴィッドソンを買ってきて、こつこつと部品を集め、修理をし、また乗れるようにしたという。昔風の革ジャンにヘルメット、ゴーグルをかけて、奥さんを後ろに乗せて走るのが楽しみとのこと。しかし、冬の長くて寒いドイツでは、オートバイは一年の半年しか乗れない。

 午後は、ドライハウゼンという村に住む、ホルヌング家を訪ねる。午前中に懲りて、今回はジギにカーナビを借りていく。彼らは昔僕の家のすぐ傍に住んでおり、彼らの独り娘のモニカと、うちの息子が同い年で、よく一緒に遊んでいた。

「娘さんはどうしておられるの?」

と同じ質問をすると、大学の修士課程とのこと。どこの大学かと尋ねると、スウェーデンのヘルシングボリ大学だという。その前はオランダの大学を卒業とのこと。

「言葉は大丈夫なの?」

と尋ねると、大学で働く夫のベルントが言う。

「最近はどの大学でも、英語で講義をするところが多いよ。外国からの学生が多いし、いちいち現地語の語学講座に通わせる金も時間も節約できるしね。」

 

ホルヌング家のロザリオとベルント。アドヴェンツ蝋燭に一本だけ火がついている。でも、来週からは二本。

 

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