フランス語のインディ・ジョーンズ

 

ヴェルサイユ宮殿では、木々が色づき始めていたが・・・

 

その日は皆に、

「週末どこへ行ったの。」

と聞かれた。

「パリとヴェルサイユ、良い天気でよかった。」

と、何人に同じ返事をしたであろう。

夜八時にやっとその日の作業が終了。Iさんにホテルまで送ってもらう。

「夕食付き合おうか。」

とIさんに言われるが、

「いいです、放し飼いで。そっちの方が気楽だから。」

とお断りする。そして、また同じ中華料理店で飯を食った。

ホテルに戻り、テレビをつけると「インディ・ジョーンズ・魔宮の伝説」をやっていた。フランス語なのだが、ストーリーは知っている。フランス語の勉強にと思い、最後まで見る。英語で

「オー・マイ・ゴッド!」

というのは、

「モン・デュー!」

と言うのだということなどが分かってくる。しかし、基本的に活劇映画に言葉は要らないのである。

火曜日の朝、オフィスに入って、皆に

「ボン・ジュール」

と言うと、ひとりの日本人の女性から、

「モトさん、発音が日に日に上手になりますね。」

と褒められた。

「へへへ、それほどでも。」

と言いながら、しかし、何事も褒められると悪い気がしない。僕も、教育や説明のとき、出来るだけ、

「それはいい質問ですね。」

「あなたは良く分かっておられて素晴らしい。」

とか相手を褒めることにしている。

「相手を褒めてその気にさせる。ブタもおだてりゃ木に登る。」

というのが更に「モトのモットー」である。

その日も終日、倉庫に入り浸り。出荷の際、プログラムが最適な梱包を選択するはずなのだが、データが間違っていたりして、時として「スカタン」をやる。その原因を突き止め、それを直し、正しい梱包指示を出させるという作業の繰り返し。それでも、夕方までにはかなりきれいになった。

 

・・・ラベンダーなど、夏の名残の花もまだ咲いていた。

 

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