ルワンダの同窓会
今宮神社脇、あぶり餅屋かざりやさん。創業は平安時代の西暦1000年。
四月に入り、帰国が近付いてきた頃、僕の描いた絵は十五枚になっていた。その中に二枚、京都のお店をテーマにしたものがあった。ひとつは大徳寺納豆本舗「一久」、もうひとつは今宮神社の横にあるあぶり餅の「かざりや」である。両方とも伝統的な店構えで、趣があり、写真に撮った後、絵の題材にさせてもらった。それらの絵を母に見せたところ、
「お店の人にあげたらどう?きっと、喜ばはるで。」
というコメント。そんなこと、僕は考えもしなかったが、確かに良いアイデアだ。カラーコピーをしてみると、まあ良い感じに仕上がってきた。僕はアマゾンで額を注文し、額に入れた絵を、お店に持っていくことにした。
「勝手に描いた絵。どんな反応で、受け取ってもらえるかな。」
楽しみでもあり、少し不安でもあった。
日本を発つ二日前、僕は昼過ぎにGさんに会うことになっていた。彼とは、大徳寺の中を散歩して、今宮神社まであぶり餅を食べに行くことになっており、その際、二軒のお店に寄り、絵を渡すことにした。まず、大徳寺納豆「一久」。「こんにちは」と言って入っていき、自分がアマチュアのイラストレーターであり、お店の絵を描かせてもらったと説明。
「記念にどうぞ、お納めください。」
と言って、額に入った絵を渡す。店員さんに渡したら、大変恐縮されて、
「ちょっと待ってください、女将さんを呼んできますから。」
奥から着物を着た「女将さん」が出てこられ、丁寧にお礼を言われ、お土産に納豆を二袋いただいた。ここまで喜んでもらえるなんて、かなり意外だった。
あぶり餅屋では、餅とお茶をご馳走になって、お金を払ってから、同じく女将さんに絵を渡した。度々テレビや雑誌でも取材される有名な店だけに、反応は「ありがとうございます。」の一言だった。
あぶり餅屋を出てから、Gさんと僕は歩いて、一キロほど離れた、あるコーヒー店に向かった。Gさんの元部下で、僕もルワンダで会ったことのあるHさんという女性が、その日から、そのコーヒー店で働き始めたことを、僕はSNSで、ちょうどその朝知った。それで、Gさんを誘って、Hさんに会いに行くことにしたのだった。お店の前に、椅子を並べて、三人でコーヒーを飲みながら話す。前回、このメンバーで話したのは、三年前、ルワンダのキブエという町だった。キユ湖の畔のレストランで、もうひとりAさんという女性と四人。GさんはJICAの職員、HさんとAさんは海外青年協力隊のメンバー、僕は旅行者だった。キユ湖で獲れた小魚の唐揚げがとても美味しかった。向こう岸はコンゴである。湖面には漁火が見えた。食事の後、皆で星空を見る。南十字星がきれいだった。そんな話をしながら、
「アフリカの話をできる人が、近所に越して来られて、良かったね。」
僕はGさんに言った。