池の畔の友人たち
何時も出会った、六匹の雛を連れたカナダ雁の夫婦。
僕たちが住んでいたペランポートの街について、少し詳しく書いてみたい。コーンウォールの産業だが、かつて栄えた鉱業や漁業も今は廃れ、基本的にコーンウォールの町々は、観光業で持っている。砂浜があり、それを取り囲むように町や村がある。斜面に、リゾートホテルやホリデーアパートメントが建っていて、海岸にはカフェやレストラン、サーフィンの店がある。そんなのが、コーンウォールの海岸にある町の典型。そして、町と町の間に自然海岸があり、その多くをナショナル・トラストが所有している。そんなパターン。ペランポートもそれに当てはまった。
コロナ禍による海外渡航禁止で、僕たちのように、休暇を国内で過ごす人が増えるという点で、コーンウォールにとって、少しはプラスになっているだろう。しかし、ホテルやレストランに休業要請が出ていたので、トータルとしては、コーンウォールの観光業には大きなマイナスだったと思う。事実、三連休の週末にしては、どこへ行っても空いていた。ノンビリと休暇を過ごすには、いいタイミングだったが。
妻と娘たちは、天候が許す限り毎日トレッキングをしていたが、僕は、その半分くらいに参加しただけ。独りで家に残り、絵を描いていることも多かった。さすがに午後四時ごろになると、飽きてきて、外に出る。天気も良いし。海岸までは歩いて五分くらいだが、そこに行くまでに池があった。池の畔で何時も同じベンチに座る。そこで僕に「友達」ができた。
一組は、いつも隣のベンチに座っていた、七十歳くらいの男性と彼の犬。僕もそうだが、誰にも、生活のリズムがあるんだろう。同じ時間に、同じところで、同じことをする。彼とは三回出会った。いつも、同じベンチに座り、煙草を紙で巻いていた。英国人は犬が大好き。国内旅行だと、犬を連れて行けるので、街の中には、犬を連れた人がやたら多かった。そのおじさんが連れている犬が僕のところへ来る。犬の相手をする。
「この犬『彼』それとも『彼女』?名前は?歳は幾つなの?」
それがきっかけで話し始める。犬はオスで名前は「スカウト」、十二歳。彼自身の名前はジェフと言った。彼はビルダー(大工)だったが、色々な国で仕事をしたことがあった。僕も仕事であちこち行っている。
「どこの国が良かったかなあ。」
なんて、話をしていた。
その池の傍で、何時も出会ったのが、カナダ雁の親子だった。両親が、六匹のヒナを連れている。そのヒナの遊ぶ様子、それを両親が見守る様子が、見ていて、本当に微笑ましいのだ。
「どの動物も、赤ん坊は可愛いなあ。」
短い商店街には、サーフィンの店が沢山あった、そこで、サーフィンを借りたり、レッスンを申し込んだりできるのだ。波打ち際では、サーフィンをしている人が、いつも三十人くらいいた。風が強く、波があったので、結構「サーフィン日和」だったのかも。
海岸では、サーフィン。時間をかけて沖へ出て、波に乗っているのは数秒。ご苦労様です。