食は中国にあり
わあ、でっかい伊勢エビだ!食べる前に撮っておこうっと。
「食は中国にあり。」
中華料理は、中国が最も世界に誇り、また、世界中に輸出しているものだと思う。今回は、その中華料理を、文字通り「たらふく」食べる機会に恵まれた。特に結婚披露宴でのご馳走、一言で表現すると「山海の珍味」のオンパレードという感じだった。一体何種類あったのだろう。二十種類は超えていたと思う。
僕の短い挨拶の後で、ハンさんご夫婦の「まともな」スピーチがあり、その後、ワタルとゾーイから「お礼の言葉」があって会食が始まった。白い瓶に入った「マオタイ(茅台)酒」が抜かれる。アルコールが五十三度という強い酒である。ごく小さなグラスに注いで、
「ガンベイ!(干杯=乾杯)」
マオタイ酒を飲み干し、アワビの入ったスープを飲むと、腹がカーッと熱くなる。酒の強いミドリはともかく、余り酒の強くないはずのハンさんも、順調に杯を重ねている。僕は隣に座ったゾーイのお祖母ちゃんと、手振り身振りでコミュニケーションを図る。
料理が次々と運ばれる。ロブスター、蒸した大きな魚、子牛のワイン煮込み、カリカリとした酢豚のようなもの、もちろん鴨肉、小籠包(しょうろんぽう)、その他、その他。
「一体これは何でんねん。」
と、材料が分からないものも幾つかあった。
今回中華料理、正確に言うと「北京料理」を食べて意外に思ったのは、薄味であるという点だ。中華料理というと、かなり出汁の効いた、濃い味を想像してしまう。しかし、北京料理は、京料理を思わせる、結構デリケートで上品な味だった。
今回、最初に中国で食べたものは、空港でのラーメン。正午に北京空港に着いて、ホテル着が三時ごろになるので、妻が、
「何か食べておきましょうよ。」
と提案したのだ。鶏ガラで取ったと思われる、ちょっと白く濁ったスープ。
「あれっ?意外にあっさりしてる。」
「結構薄味ね。」
と僕と妻は顔を見合わせた。その日の夜、ホテルのレストランで、ハンさんたちと会食したときに食べた料理も、皆薄味で、繊細な味付けだった。エレンさんに、
「結構薄味なんですね。」
と言うと、
「広東料理は味が濃いんですよ。ヨーロッパに渡った料理人は広州の人が多いので、いつの間にか、広東料理の味が中国の味だと誤解されることなったんです。」
とのこと。なるほど。
「昔は、その土地の料理しか食べられなかったんですが、現在は、色々な地域の料理が食べられるんですよ。今日の料理も、色々混ざってます。」
とエレンさんが言った。中華料理と言っても、非常に幅の広いものなのだ。
「お父さん、まあ一杯。」「有難う、息子。」