ココナッツジュースは熱帯の味
孫の頭よりはるかに大きいココナッツと蟹。円い揚げパンをソースに浸して食べる。
午後五時前に飛行機はシンガポールチャンギ―空港に到着。荷物を取って外に出ると、息子のワタルが迎えに来てくれていた。彼の車で、まずホテルに向かう。本来、妻と僕は、息子のコンド(マンション)の空き部屋で寝泊まりすることになっていた。しかし、直前に娘もシンガポールに来ることになり、彼女が息子のコンドに寄宿し、妻と僕は歩いて十五分ほどのところにあるホテルに泊まることになった。娘は一日前に着いていた。
ホテルに荷物を置いた後、引き続き息子の運転で、今日晩御飯を食べる「ニュートン・ホーカー・センター」へ向かう。「ホーカー・センター」とは、シンガポールに多数ある、半野外フードコートである。もう何十年も前に日本で流行った「屋台村」みたいなもの。「半野外」と書いたのは、屋根はあるけど壁はないからだ。それでも、一年中夏だから、何の問題もない。間口三メートルくらいの店が何十軒と並んでおり、殆どどんな料理でも食べることが出来る。(日本食やイタリアンまで)そして結構安い。余り家で料理をしないシンガポールの人々が、好んで訪れる外食スポットである。
車で走っていると、隣の車線に一台の車が。見ると、後部座席に孫のエンゾーが乗っている。息子の嫁ゾーイと、そのご両親も。父親のハンさんが運転をしている。ちなみに、シンガポールは、日本や英国と同じく、左側通行である。
「ニュートン・ホーカー・センター」の入り口で、嫁や孫、ご両親と再会を果たす。センターは結構混んでいたが、無事七人が座れる場所が見つかった。
「パパ、何か食べたいものある?」
と息子に聞かれるが、余りにも種類が豊富で、ちょっと考えつかない。ここは、地元民にお任せするのが一番。
「冷たいビールがあれば、その他はお任せ!」
ワタル、嫁、母親のエレンさんが、食料調達のために散って行く。ハンさんと妻と僕で、孫のエンゾーの相手をしながら待つ。妻はエンゾーに夏に会っているが、僕はほぼ一年ぶり。よく喋るようになった。英語の幼稚園に行っているので、何語で尋ねても、答えは英語である。
まず、飲み物が届く。氷の入ったバケツに突っ込まれたビール。エンゾーの頭より大きなココナッツ。上に穴が開いており、黄色くて長いストローが数本差し込まれている。
「乾杯!うう、効く〜う。」
この暖かい気候の中、冷たく冷えたビールと、ココナッツジュースは最高。熱帯の気候は、ビールの美味しさを倍加させる。
そのうち、ボツボツと食べ物が届く。シンガポールでは、肉料理も美味しいが、何と言っても海鮮、シーフードが素晴らしい。「エイ」の照り焼きというのを初めて食べた。定番は、蟹、ロブスター。結構濃厚な、甘みの強いソースがかけられており、そのソースを、小さな揚げパンに絡めて食べる。これがまた美味しい。
日曜日の夜、賑わうホーカー・センター。本当に何でもある。