クリスマスはお正月
金沢駅前の「鼓門、樹木には「雪吊」りがしてある。
クリスマスパーティーの翌日、僕は金沢から北陸新幹線で東京に向かった。僕の持っている切符は、「京都市内から京都市内まで、あれれ、出発と終点が同じだぞ」という変なもの。よく見ると「北陸、敦賀、新幹線、東京、東海」と書いてある。つまり、京都⇨金沢⇨東京⇨京都という三角形の路線の切符だった。その日は、東京から枝分かれして、千葉県の大網に向かう予定。今日は二十四日、クリスマスイブである。
その日も北陸は雪模様。空は灰色の厚い雲に覆われ、糸魚川辺りでチラリと見える日本海は鉛色をしている。その後、新幹線「はくたか」は長いトンネル地帯に入る。ずっとトンネルを走っていて、駅に停まるためにたまに地上に出るという感じ。地上に出るたびに、だんだんと空の雲が薄くなっていく。軽井沢から、高崎に出たとき僕は目を疑った。
「雲一つない青空とはこのことや。」
冬型の気圧配置のときの日本海側と太平洋側の天気が、このコースに凝縮されていた。
東京駅に着いて、駅員に尋ねる。
「これから千葉県の大網まで行きたいんですけど、切符、どこで買ったらいいんですか?」
「東京までの切符をお持ちなら、そのまま大網まで行って、降りる時に乗り越しの精算をしてください。」
とのこと。ところが、大網は無人駅だった。結果的にタダ乗りしたけど、僕が悪いんじゃないも〜ん。
その日から三日間、友人のNさんのお宅でクリスマスを過ごすことになっていた。Nさんと奥さんのSさんは昔ロンドンに住んでおられて、そのときに知り合った中。二人はロンドンにも家を持っておられて、僕が今その家の管理人をやっている。
「こんにちは、お世話になりま〜す。」
駅に迎えに来て下さったおふたりに、英語で言う。何故・・・奥さんのSさんは南米の方なので、彼女がいる場では、英語で話すことが僕たちの習慣になっているのだ。
ヨーロッパでは、クリスマスが日本のお正月みたいなもの。普段、離れて暮らしている家族が集まる日なのである。その日、Nさんの息子さんのYくんと、その奥さんのIさんも僕の着いた直ぐ後に到着。五人で、ノンビリとクリスマスを過ごすことになる。Iさんは来年三月に出産予定。NさんとSさんにとって初めての孫である。五人でリビングルームのソファに座り、
「産まれてくる子供の名前は何がいいかな?」
そんな話題について話すのも、夢が広がり、クリスマスらしくてよいものだ。
クリスマスイブとクリスマス、僕は、ずっとリビングで、N家の人々と話して過ごした。N家に着いてから、二日後大網を去るまで、僕は一度も外に出なかった。本当に、ダラダラと、久しぶりに何もしないで過ごした。本当に、「クリスマス休み」になった。
クリスマスで集まった家族で乾杯。