ちょっと変だよJR
缶ビールを買って東海道新幹線に乗り込む。
十一時三十三分、「ひかり五一一号」で東京発。
東海道、山陽新幹線には「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」の三タイプが走っている。最も早いのが「のぞみ」であり、現在は大多数の列車が「のぞみ」である。ちなみに、時刻表を見ると、午前六時から七時までの一時間に東京駅を発車する列車は十二本もある。十本が「のぞみ」、「ひかり」は二本だけである。しかし、僕の持っているJRパスでは、「のぞみ」に乗れない。次々と発車していく「のぞみ」を尻目に、僕は三十分待って「ひかり」に乗った。もし、「のぞみ」に乗ることが出来ていれば、鹿児島にはもう一時間早く着けたはずである。
このJRパスでは「のぞみ」に乗れないという規則、十年以上前、初めて「のぞみ」が走り始めたときから存在し、今も変わっていない。かつては、「ひかり」が主流で、「のぞみ」は超特急ということで特別だった。しかし、今、ほとんど「のぞみ」しか走っていないのに、この規則はちょっとひどい。外国人の旅行者は、列車の愛称なんか殆ど知らない。乗ろうと思って止められたり,降ろされたり、追加料金を取られたりして、釈然としない外国人乗客を何人も見たことがある。僕は説明してあげようとしたことがあるが、
「あれは『のぞみ』でこれは『ひかり』で。」
と言っても誰も分かるわけがないよね。とにかく、早く改善して欲しい、時代錯誤なJRのルールである。
列車に乗る前に缶ビールとつまみを買う。列車の旅の道連れは何と言っても缶ビール。まだ午前中。しかし、列車の中だと、午前中からビールを飲んでいても、それほど違和感がないのが嬉しい。仮に僕が午前中、公園のベンチでビールを飲んでいたとする。
「あら、あの人アル中よ。危ないから傍へ寄っちゃだめよ。」
と言うことになるだろう。僕が酒好きかつ旅好きなのは、関係があるのかも知れない。
今回、久々にJRに乗って、変わったなと思ったのは、女性の駅員さん、女性の車掌さんが多くなったということ。紺色のユニフォーム姿の彼女たちは、凛々しくかつ可愛い。京都から東京へ向かう「ひかり」の車掌さんが結構若いお姉さんだったのだが、
「お忘れ物ないように、お支度願います。」
と言うところ、
「お忘れ物はございませんか?」
と言って、一瞬間を空けてから、
「今一度お確かめのうえお降りください。」
と言った。「問いかけ」、「間」、「フォロー」が絶妙で、しかも若い女性の声。説得力が全然違うよね。
駅に女性職員が増え、アナウンスもとてもソフトな感じになった。