日本縦断新幹線の旅
車窓からの富士山。何時見ても素晴らしい。絶対にカメラを向けてしまう風景だ。
昨年、新幹線が北海道まで通じた。まだ一番南の函館までとはいえ、東京からの直通列車が走るようになった。時刻表で調べてみると、朝六時半に新函館北斗駅を北海道新幹線で出発すると、夕方の七時には九州新幹線の最南端、鹿児島中央駅に着くことができる。一日で列車による日本縦断。やろうと思えば誰でも出来るが、余りにも馬鹿馬鹿しいので誰もやらない。飛行機だと二時間で移動できるもんね。
「やってみようかな。」
日本の一時帰国の日取りを決めた後、そんなことを考え始めた僕は、仕事の合間に、インターネットの時刻表を見て、次のような計画を立てた。
函館発:六時一分「函館ライナー」函館本線
新函館北斗着:六時二十七分
新函館北斗発:六時三十五分「はやぶさ十号」>北海道新幹線、青函トンネル経由、新青森から東北新幹線
東京着:十一時四分
東京発:十一時三十三分「ひかり五一一号」東海道新幹線
新大阪着:十四時二十六分
新大阪発:十四時五十九分発「さくら五六一号」山陽新幹線、博多から九州新幹線
鹿児島中央着:十九時七分
十三時間六分で走破できることになる。
このような馬鹿馬鹿しい挑戦への強い味方は、JRが外国人旅行者のために発売している「ジャパン・レイル・パス」だ。七日間JR全線乗り放題で、二万八千円ほどで買える。しかし、これは海外でしか買えないし、資格のあるのは原則的に外国籍の人のみである。「原則的に」と言ったのは、もうひとつ条件があり、日本人でも「海外永住者」は、外国人と同様に扱われる。米国のグリーンカード等を持っていれば、日本人でも、この切符を買えるのである。幸い僕は英国の永住ビザを持っている。
二週間前に、英国の旅行会社でクーポンを買った。それをJRの「みどりの窓口」に持って行って、切符に交換するのである。「日本縦断」の前々日、僕は京都駅の「みどりの窓口」に行った。昨今、外国人旅行者が増えているせいか、JRパス引き換えは専用の窓口になっていた。おそらく、その窓口の職員は英語が話せるのだと思う。数人が並んでいたが、もちろん皆外国人。並んでいる間に、職員に渡された書類に、使用開始希望日等、必要事項を記入する。職員は英語で話しかけてくる。
「そうですか、そっちが英語なら、こっちもそれに応えましょう。」
僕は「アキヨシ」という名札を付けたお姉さんと、英語で話をして手続きを済ませた。彼女の英語はイマイチだったが、中国語も話せたので許してあげよう。
東京駅に到着。赤れんがの建物、丸屋根の梁が美しい。