冷房が効いているわけ
色々なものを食べたし、作ったし。寿命が何年延びたかな。
Day 10
最終日、飛行機は夜十時にチャンギー空港を出発する。それで、今日も一日シンガポールで活動できる。最後なので、またエンゾーと遊ぶ。僕たちが来た十日前、彼は二、三歩歩けるだけだったが、今では十歩以上歩けるようになった。子供の成長はまさに日進月歩。
エンゾーがお昼寝の間、またまた、ジュー・チャット・ロードのショップハウスを見に行く。写真を沢山撮る。その日も歩いていると結構暑い。気温は三十度を少し超えた程度だが、湿度が高く、汗が噴き出す。少し歩いた後、カフェに入る。
「ああ、気持ちが良い。」
冷房が快い。僕は、最初、冷房が苦手だった。十度近い気温の変化に、風邪を引きそうに感じて、常にトレーナーを持ち歩き、冷房の入った場所ではそれを着ていた。しかし、今は、そんなことをしなくなっていた。身体が冷房に慣れたようだ。シンガポールの人たちは、本当にガンガン冷房を効かせる。最初は、
「もう少し高めの温度設定でもいいじゃない?」
と思った。しかし、十日間この気候で暮らしてみると、
「どうせ一年中暑いんだから、せめて屋内に入ったときだけでも、涼しく過ごしたい。」
そんな気分になってきた。また、冷房の効いている建物から外に出た時の、暖かいという快感も良いと思うようになった。着実にシンガポール人になりつつあるよう。
午後六時頃に、ワタルと三人でマンションを出る。エンゾーに別れを告げる。
「元気でね。また会おう。」
また一年くらい会えないと思うと寂しい。同時に、次に会う時にはどんな成長を遂げているか、楽しみでもある。息子たちは来年オーチャードの方に引っ越すので、この辺り、イーストコーストに来るのも、これが最後だろう。
ジャンギー空港のフードコートで、夕食。インドネシア風のラーメン、マレーシア風のエビの天ぷらを食べるが、相変わらず美味い。八時ごろ、チェックインを済ませる。
「何から何まで世話になったね。ありがとう。」
息子に礼を言って別れる。
「来てくれてありがとう。」
と息子。
バーでゆっくりワインを飲んでいたら、搭乗がギリギリになった。飛行機に乗り込んだのは僕たちが最後だった。これからヘルシンキまで、またまた十三時間の旅である。今回の旅の成果は何かなと考える。エンゾーの成長ぶりを見られたことは何より。また、北京語の進歩も認められた。十カ月前、クリスマスに来た時には、ハンさん夫妻とほとんど北京語で話ができなかった。しかし、今回はかなりの部分北京語で話した。北京語と英語が半々くらい。お二人の英語のレベルくらいは、北京語が話せるようになったかな。
毎日出掛けたジュー・チャット・ロードの街並み。