エギディエンベルクの天の川
色付いたリンゴが秋を感じさせる。
昼間クリスティーネと話していて、ユリアーネの「カウガール」と同じくらい、余りに意表を突いた答えに、言葉に詰まったことが昼間にあった。
「お生まれはどちら?」
とクリスティーネに尋ねた。「ミュンヘン」とか「ハノーバー」辺りの答えを期待していたのだが。
「メキシコシティ。」
「・・・」
フォルクスヴァーゲンに勤めるお父さんが、当時メキシコで仕事をされていたという。マンフレッドの家族は、皆さんユニーク。
八時過ぎ、ユリアーネは妹を迎えに行くといってレストランを出て行った。
「途中で妹がご飯と食べたいというと思うから、ちょっとお金くれない?」
と言って、彼女は二十ユーロお父さんから貰っていった。どこの子供も同じである。
八時半ごろ、マンフレッド夫妻と僕たちも店を出て、彼らの家に向かった。途中「マルクトプラッツ」(週末に市場の立つ広場)を通り抜けていく。そこには先ほども書いたが「キルメス」つまり、移動遊園地が作られていた。大勢の主に若者たちが集まって騒いでいる。「ドン・ドン・ドン」バスの効いた音楽が鳴り響き、その隣に僕の泊まるはずだったホテルが・・・
「こら眠れんわ。」
マンフレッドの配慮に感謝した次第。
その夜は十時ごろまでマンフレッドとクリスティーネと色々話をして過ごす。クリスティーネは読書と馬と旅行が趣味とのこと。僕も「本の虫」。しかもドイツ語。僕たちは、結構同じ本を読んでいて、この本が面白かったとか、あの本は面白いよとか、情報交換ができてよかった。彼女は、乗馬と読書と旅行が趣味だという。そして、ドイツ語、スペイン語、英語、フランス語を話すという多才な人であった。マンフレッドも英語を話すが、彼にとっての英語はビジネスでどうしても必要なもの。クリスティーネは、地元の薬局で事務をやっていて、特に外国語が必要という立場ではない。趣味でそれだけ話せるのだからすごいよね。
十時半ごろに、マンフレッドにホテルまで送ってもらう。外へ出ると満天の星で、天の川が見える。遠くからキルメスの音楽が聞こえてくる。
翌朝、ホテルでの朝食の後、僕は少し村の中を歩いてみた。駐車場に車を停めて、トレッキングシューズに履き替えている男性がいる。
「これから歩くんですか。」
と聞くと、山の方を指さして、
「あの山、レーヴェンベルクまで歩いてくる。」
と言った。僕も、次回は辺りの山を歩いてみようと思った。でも、次回って何時?
遅くまで賑わう村のキルメス。夏の間、毎週末色々場所で行われている。