ミニ同窓会、その二

 

三十七年ぶりに会ったタマサンと。それでも会話はスムーズ。

 

同窓会で、男同士になると、自然と体重と髪の毛の話になる。五十代も半ばになると、皆気にしていないようで、やっぱり気にしているのだ。殆ど皆が、太った、体重が増えた、髪は白くなった、薄くなったと、ちょっと自虐的にぼやいている。僕は高校を卒業したときの体重が五十七キロ、今の体重が五十八キロ。

「ケベは変わらんね。」

と皆に言われる。正直悪い気はしない。

さて、ホリケンの同窓会の案内メールが来たとき、「ロンドンにいるタマサンとケベが・・・」という一文があった。タマサンも中学、高校の同級生だ。

「へえ、もうひとり、同級生がロンドンに居るんや。」

僕は、日本から帰った翌日、ホリケンに教わった、タマサンのアドレスにメールを送った。

「今ロンドンにいるの?会わない?」

翌日彼から返事が来て、日本から帰った翌週の水曜日、一緒に晩飯を食うことになった。

彼が予約してくれたのは、オックスフォード・サーカスの日本料理店。その日は早めに仕事を終り、家に車を置いて、電車と地下鉄でオックスフォード・サーカスに向かう。

僕が先に着いて待っていると、約束の七時ちょうどに、背広とネクタイ姿のタマサンが現れた。こっちは家で着替えたので、セーターとジーンズである。

「よう、久しぶり。」

ちょっとやそっとの「久しぶり」ではない。何と、三十七年ぶりなのだ。彼は某大手商社の財務部長としてロンドンに赴任しているとのこと。大手商社、部長さんとなると、同じロンドンに住んでいると言っても、僕の境遇とは、イギリスとキリギリス、ロサンゼルスと廬山寺通りくらいの違いがある。彼は息子さんを、ある有名な「ボーディング・スクール」(寄宿舎制の学校)に通わせておられるという。

僕:「あの学校の学費、高いやろ。」

彼:「結構高い、百万円くらいするかな。」

僕:「ええっ、一年でそんなすんの?」

彼:「一学期でや。」

う〜ん。日本の商社は不況と言えども、我々とは桁が違う。

本当にここ一ヶ月で、沢山の懐かしい顔に出会ったものだ。同窓会に出て、ユーコにも会って、ロンドンでツネボンとタマサンにも会えた。本当に、得難い一ヶ月だったと思う。

タマサンと別れて、家に戻ると、日本から米国に戻ったユーコからメールが来ていた。

「本当に日本に行ったのが遠い昔のようです。よい思い出ばっかりで、本当に帰国してよかった。」

ユーコはそう書いている。翌日タマサンからもメールが来た。

「また会おう。今度は家族で。」

 

黄昏のオックスフォード・サーカス。

 

<了>

 

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