クリスマス!
クリスマスツリーの下には、プレゼントが明日開けられるのを待っている。
マルチリンガルの話は続く。
「スイスとか、複数の言葉が話されている国でも、母国語が完全なものになる九歳くらいまでは外国語教育をしないというし。欲張って、あまり色々な言葉を教えようとすると、どっちつかずになるんじゃない。」
と僕が言う。でも、チズコによると、マレーシアでは小さい子供でも、三ヶ国語を上手にスイッチして話すという。
「スイスは地域によって話されている言葉が分かれているんでしょ。マレーシアではひとつの場所で日常的に三ヶ国語が話されているのよ。かなり事情が違うわ。」
とチズコ。なるほど、それは言えるかもしれない。
「子供達に、ジェイソンは英語、チズコは日本語でずっと話かけていればいいんじゃないの。」
という辺りが今晩の結論と言えるだろうか。
アパートに戻る。窓際のクリスマスツリーの下には綺麗な包装紙に包まれたクリスマスプレゼントが沢山置かれている。開けるのは明日の朝。子供達は楽しみにしている。遠くからわざわざやって来るサンタクロースとトナカイとために、
「お疲れ様。」
と、クッキーとミルクが用意されているのが可愛い。
十二月二十五日、クリスマス。六時に目が覚める。アパートの数ブロック向こうにモスクがあり、毎朝六時過ぎ、スピーカーからかなりの音量でコーランが流れてくる。コーランの流れるクリスマス、何か変な気分。
散歩に出ようかなと思うが、今日は子供達が目を覚ましたらプレゼントを開けることになっている。その時に家にいないと悪いので、散歩はとりやめることにする。
七時過ぎにドアを開けると、早くもオリバーが僕の部屋の前にいる。しかし、まだ早すぎるというので両親に部屋に連れ戻された。
八時過ぎに皆がリビングルームに集合。窓が少し開いており、クッキーとミルクの皿は空になっている。
「サンタさんが窓から入ってきて、クッキーとミルクを食べたんだ。」
と言って、子供達ははしゃいでいる。ジェイソンとチズコの演出も、なかなか芸が細かい。
子供たちは次々とプレゼントを開いていく。両親、祖父母、叔父叔母から、それと家族お互いのプレゼントなどがあり、ひとり十個以上はもらったのではないだろうか。僕にも、四人のそれぞれからのプレゼントがあった。これは予想さえしていなかったのでとても嬉しい。
朝食を始めるが、子供達はもらったおもちゃで遊ぶのに忙しく、朝食どころではなかった。
わあ、クッキーとミルクが空になってる、サンタさんが食べたんだ、とアラタ。