全てがミックスされた街

 

「コロニアル風」の建物。どれも少々寂れた感じがする。

 

ジュディスのアパートで、チズコが、

「あっ、猿がいる。」

と言って窓の外を指差した。確かに、ニホンザルより小さい猿が、木から木へ飛び移るのが見える。そう、ここは熱帯なのだ。

僕は欧米式のパーティーがそれほど得意ではない。欧米式のパーティーは基本的には会話を楽しむもので、パートナーをとっかえひっかえして、喋り続けなければならない。しかも、相手はほとんど英国人、米国人、カナダ人、オーストラリア人など「ネイティブ・スピーカー」、つまり英語を母国語としている人達なのだ。この人達と対等に「パーティートーク」を行うと、短時間ならともかく、二時間が限度、それ以上やると疲れ切ってしまう。

「疲れたからボチボチ行こうよ。」

と一時ごろにチズコに言うと、彼女も同意してくれた。

チズコにペナン島の「首都」、ジョージタウンまで送ってもらう。午後は、ジョージタウンの街を少し「観光」するつもり。

モスク、回教寺院の前で車を降りる。ジョージタウンの町は「コロニアル風」の建物が多くあり、世界遺産に指定されているとのこと。しかし、正直言って、ちょっと寂れた感じで、余り感激はなかった。

昨日よりも暑い気がする。気が付かないうちに汗をかいている。またパーティーでシャンペンを飲んだので喉が渇いていた。冷たいものが飲みたくなった。少し行くと、アーケードの「美食中心」、つまりフードモールがあった。そこでアイスティーを飲む。大きなスクリーンがあり、そこではサッカーをやっている。ヨーロッパのリーグの試合のようだ。

ジョージタウンの街のなかには、中国人の住む「チャイナタウン」、インド人の店ばかり並んでいる「リトル・インディア」などの通りがあり、民族間で住み分けはできているようである。本当に色々な文化が混在した街という印象を受ける。しかし、基本的に、どこでも漢字が書いてあるため、日本人にとっては非常に助かる。

街角に、「雲呑麺・Wan Tan Mee」と書いてある看板が目に入る。「ワンタンメン」だ。その店に入り、書いてある通りに、

「ワンタンミー、一丁。」

と注文する。ラーメンのように、汁の中に麺が入っているのかと思ったら、オレンジ色のプラスチックの皿の上に焼ソバのような麺が乗り、同じくオレンジ色の小さな茶碗にワンタンの入ったスープが出てきた。どうして食べるのか分からないので、とりあえず、スープを麺の上にかけて食う。味はまあまあ。しかし、一リンギット四十セント、四十円弱というのは信じられないくらい安い。

街をブラブラと歩く。英国人が作った要塞があり、その横の海辺の公園で休憩する。海からの風が通り気持ちが良い。

 

公園で談笑するマレー人のおばさん。