プナカイキ
この不思議な景色を見て・・・
アザラシの繁殖地を見た後、プナカイキと言う場所を観光することにする。ウェストポートから海岸線に沿って、南へ車を走らせる。
「確かに、西海岸は東海岸とは全然違うなあ。」
東海岸は、牧草地、松の木が多く、乾燥した感じがしたが、こちらは広葉樹やシダ類、ソテツ類が山をビッシリと覆っている。タスマン海から打ち寄せる波も荒く、それを迎える海岸も切り立っている。打ち寄せる波がそのまま水蒸気になっているのではないかと思うほど、空気に湿り気が多い。一言でいうと、「熱帯雨林」。ガダルカナル島で見たような、密度の濃い森が続いている。
プナカイキに着いたのは四時近くだった。集落があると予想していたのだが、道路脇にポツポツとモーテルがある程度。予想とかなり異なっている。時刻を考えると、今晩はここで泊まるのが良さそうだ。幸い、レストランの隣に、そのレストランがやっているモーテルがあり、そこに空き部屋があった。値段を聞いてみるとかなり高い。部屋には炊事設備もない。しかし、他の宿は皆「ノー・ヴェカンシー」になっているので、そこで泊まることにする。
また牛乳をもらって部屋に入り、車と荷物を置いて、「プナカイキ名物」のパンケーキ・ロックとブローホールまで歩いていく。
「なるほど、だから『パンケーキ・ロック』、『ホットケーキ岩』と言うのね。」
思わず、命名の妙に感心する。水平な石灰岩の地層が、浸食され、何十枚、何百枚というホットケーキを重ねたような形になり、それが崖を作っている。「ニュージーランドの東尋坊」という雰囲気。
ブローホールというのは、浸食により作られた、トンネルで海に続いている穴である。波が打ち寄せると「ブウォーン」と音がする。来た時は曇っていたが、夕方になり天候が回復、海の上の雲が破れ、太陽の光が水平線に向かってキラキラ輝いている。なかなか良い場所である。一回りしただけでは惜しいような気がしたので、もう一回りする。夕日がきれいそうなので、日没のころにもう一度来なければ。
モーテルの横のレストランでビールと夕食。レストランは週末ということで結構混んでいる。プナカイキでは、ここを除きレストランはないような気がする。四人掛けのテーブルに独りで座っていると、当然相席となる。
「一緒に座っていいですか?」
「どうぞどうぞ。」
最初は北島から来られた定年退職したご夫婦との相席。休みが終わったものの、まだまだ天気が良い日が続く二月は、お年寄たちがホリデーを過ごす時期なのだ。
「北島にもぜひおいで。」
と言われる。彼らの後に一緒に座ったのは何とロンドンから来た母娘。「ローカルネタ」で盛り上がる。辺りが薄暗くなってきたのに気付き、慌てて海岸へ出る。日は既に沈んでいた。
・・・ホットケーキを想像した人はなかなか凄い。