民族大移動
クリスマスツリーの下にプレゼントを置いておく。開けるのはクリスマス。
基本的に、日本人は有給休暇を取らない(取れない)民族です。この点、「権利として与えられた有給休暇は全部取らねばならない、休暇を取ることは義務である」というヨーロッパとは大きく違います。日本人が有給休暇を取りたがらない理由のひとつに、「シック・リーブ、病欠」という制度がないことがあるようです。例えば、熱を出したり、お腹を壊したりして数日休むと、「有給休暇」から引かれてしまうらしいです。だから、そんな不意の病気に対して、常に有休を残しておくのでしょうね。私はヨーロッパでしか働いたことがありませんので、日本の友人から、日本の会社では、病気で有休が引かれると聞いて、
「そんな理不尽な!」
と憤りを覚えたことがあります。ヨーロッパに住んでいるあなたもきっとそう思うでしょう。
そんな、滅多に有休の取れない日本のサラリーマンにとって、年末年始は貴重なまとまったお休みです。特に、二〇一四年から二〇一五年の場合、十二月二十七日が土曜日でしたので、そこから一月四日まで、九連休になった職場を多いそうです。あなたが、日本のビジネスパートナーを持っていた場合、
「九日間返事が来ない!」
という状態になりますね。でも、まとまった有給休暇を取らない(取れない)日本人のサラリーマンにとって貴重な長期休暇なのですから、大目に見てあげてくださいね。ただ、「お正月」の期間も、日本では公共交通機関は動いています。これが十二月二十五日、電車、バス等の一切の交通機関がビタッと停まってしまう英国とは大きく異なります。
「帰省ラッシュ」という言葉が毎年使われています。十二月の終わりには、大都市を去り、故郷へ向かう人たちの群れで、飛行機や電車や長距離バスは満員となり、高速道路もしばしば渋滞します。一種の「フェルカーヴァンデルンク(民族大移動)」ですね。お正月が済んでからは逆方向の「大移動が」始まります。しかし、その動きは日本国内の交通機関だけではありませんでした。
今回、妻と僕は日本で「お正月」を迎えるために、僕はクリスマスの翌日のボクシングデーに、妻は二日後の二十八日に英国を発って、日本へ向かうことになっていました。二十六日の朝、八時ごろにロンドン・ヒースロー、ターミナル四に着き、「KLM/エールフランス」の、アムステルダム行き、パリ行きのチェックインに行くと、八十メートルくらいの長い列が出来ています。前のお姉さんと、
「どこまで行くの。」
「パリまで。」
「飛行機に乗っている時間より、この列についている時間の方がはるかに長いよな。」
という会話をしていました。よく見ると、家族連れが多く、しかも、両親とも日本人か、片親が日本人の家族。つまり、この方たちも、僕と同じく、昨日「クリスマスのお祝い」を済ませて、お正月に合わせて、日本に「里帰り」(一時帰国)する人たちなのでした。
これから、このガチョウをローストします。六キロあります。