次回はイタ公抜きで
僕たちの泊まった「ラ・パルマ・プリンセス」ホテル。プールが六つあった。
ヨーロッパの冬は寒くて暗い。厳しい冬の寒さから逃れて、温暖な地で休暇を過ごしたいというのは人情というもの。
「歳を取ると、とにかく暖かい所が良いわ。」
というのが、今回の妻と僕のホリデー目的地探しの第一条件。二月だと、エーゲ海の島や、地中海の島はまだ結構寒い。そんなヨーロッパ人が、冬の休暇を過ごす「定番」がこのカナリア諸島なのだ。「避暑地」ならぬ「避寒地」というわけ。飛行機で四時間飛ぶだけで、別世界にたどり着けるのは良い。メジャーなグラン・カナリア島やテネリフェ島には、ヨーロッパの国から飛行機が毎日ガンガン飛んでいる。
僕たちの泊まった、二百五十部屋ある大きなリゾートホテル「ラ・パルマ・プリンセス」は結構満員。実に色々な国の人が滞在していた。基本的に皆暇なので、プールサイドとかバーでは、
「どこの国から来られたんですか。」
と故郷の尋ね合いが始まる。ドイツ、英国、フランス、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク・・・ほとんどが北ヨーロッパからの人々だ。
「分かるんだよね。毎日暗い中で暮らしていると、たまには存分に太陽光線を浴びたくなる気分が。」
今回、リゾートに一週間滞在して驚いたことがある。
「中国人がいない!」
最近、エーゲ海の島なんかは中国人の観光客に人気があって、クルーズ船が港に着いたら、何と降りてきた乗客の半分が中国人なんてことがある。クルーズ船の停泊中、街が中国人で溢れるという光景を何度目にしたことか。別に僕は中国人が嫌いなわけではないけど、あの方たち、団体になるとちょっとうるさい。しかし、カナリア諸島には、少なくともラ・パルマ島には、アジア人はいなかった。僕たち夫婦だけ。一週間の滞在で一度もアジア人に会わなかったのは今回が初めて。
ホテルには色々な国の人が滞在しているのに、トレッキングとかで外に出ると、ドイツ人にしか会わない、そんな奇妙な現象にも遭遇した。日本人というのは基本的に「動き回る」民族だと思う。休暇に行っても、ひとつ所にじっとしてしないで、あちこち廻るのが好きだ。ところが、英国人やフランス人、スカンジナビアの人はそうではないようだ。ホリデーリゾートに来ると、そこから一歩も出ないで、毎日プールサイドでひたすら日光浴をして過ごしている。そんな中で例外的にドイツ人は、日本人と一緒、「動き回るのが好きな」民族らしい。レンタカーを借りてドライブに行ったり、トレッキングをしたりすると、聞こえてくるのはドイツ語ばかり、会うのは必ずドイツ人。やっぱり、第二次世界大戦を一緒に戦った仲、ドイツ人と日本人は、気質が似ているのでしょうね。
「次回はイタ公抜きでやろうぜ。」
ホテルでは毎晩ショーがあった。スペインと言えばフラメンコ。