大網白里ってどこ?

 

九十九里浜、強風で、砂が駐車場を覆っている。

 

日本滞在も後四日となった土曜日の朝、僕は京都を発って、大網へ向かった。かつて英国にお住まいだった友人のTさん一家は、帰国後九州にお住まいだったが、昨年千葉に引っ越しをされた。Tさん一家とは、家族ぐるみのお付き合い。僕の娘たち、息子と嫁、孫までが、昨年新しいお家にお邪魔をしている。

「今度はお父さんの番ですよ。」

Tさんに言われていた。それで、僕は週末を利用して、千葉県、大網白里(おおあみしらさと)市にTさんご夫妻を訪れることにしたのだった。息子さんも結婚して、すぐ近くの町に住んでおられる。そのお嫁さんにも、まだお会いしてないし。

そもそも、千葉県はこれまで全然縁がなく、成田空港にしか行ったことがない。大網白里市がどんなところか見当もつかない。

「知らないところに行ってみたい。」

いつもそう考えているけど、最近そんな機会があまりない僕。好奇心がくすぐられたことも、今回の千葉行きの理由のひとつだ。

 土曜日の朝、僕は京都駅から新幹線「のぞみ」に乗った。数日前に阪急特急と嵐電に乗ってウキウキしていた僕は、もう鼻血が出そう。前日の大雨は止み、まだ雲は多いが日差しものぞいている。残念ながら雲が多くて富士山は見えない。

十二時半に東京駅に着く。外房線、安房鴨川行きの特急「わかしお」が発車する、京葉線の地下ホームに降りる。同じ東京駅とは思えないくらい遠い、深い場所にある。「わかしお」に乗り込む。列車は、一時ちょうどに出発。間もなく地上に出て、東京都から千葉県への海岸線を走る。ビールを飲みながら車窓を眺める。沿線にはアマゾンを始め、ロジスティック会社の倉庫、配送センターが林立している。十年ほど前に来たときには、そんなものはなかったと思う。ここ十年ほどの、オンラインショッピングの盛況ぶりがうかがえる。しかし、列車の窓から見えるのは、建物ばかり。緑はどこにも見えない。

そんな景色のなか、電車は千葉市に入る。蘇我という駅に停まり、そこから外房線に入る。そこから大網までは十五分である。トンネルを抜ける。あと、大網までは数分。急に、山が近付き、田園風景が広がる。直前までは市街地を走っていたのに。

二時前に大網に到着、改札を出ると、Tさんの奥さんがおられた。車の中で、ご主人も待っておられる。再会を喜ぶ。開口一番に、Tさんが、

「モトさん、九十九里浜を見に行きませんか。」

「はいはい、いきましょう。」

十五分ほどで、九十九里浜、白里海岸に着く。駐車場の前には、幅が百メートル以上ある、薄茶色の砂浜が広がっている。天気は回復しつつあるものの、風は強く、細かい砂が風に舞っている。その砂は、駐車場を埋め尽くそうとしていた。

 

大網駅前の看板。やはり、こも町の売り物は九十九里浜なんだ。

 

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