鉾と山の違い

 

 

祇園祭、山鉾マップ。僕は右上の烏丸御池にいた。

 

祇園祭は、七月十七日が「山鉾巡行」、前日の夜が「宵山」、前々日が「宵々山」。今日は「宵々山」。午後、いよいよ祇園祭の山鉾を見学に出掛ける。前にも書いたが、マンションが巡行のコースにあたる烏丸御池にあるので、山鉾の集中している四条烏丸周辺までは、歩いて十分。

「メッチャ便利やわあ。」

と言いながら歩いていると、新聞社の人が、団扇(うちわ)をくれた。裏側がマップになっており、どの場所にどの鉾があるのかが書いてある。これも大変便利。「ナイト・フェスティバル」である「宵山」、「宵々山」を前に、まだ見物人はそれほど多くない。鉾と山を一通り巡って、どこに何があるか場所を把握する。殆ど全ての山鉾が烏丸通の西側にあるのに対し、常に行列の先頭を行く長刀鉾だけは、ポツンと、烏丸通の東側にあった。

さて、「山鉾」と言うのであるから、「山」と「鉾」がある。

「どこが違うねん。」

と言うことになる。区別はなかなか難しい。ざっと見た感じ、「鉾」の方が「山」より大きいと言える。しかし、鉾に負けず大きな「山」もあるし、小さな「鉾」もある。調べてみると、てっぺんに木が生えているのが「山」、独特のシンボルが掲げられているのが「鉾」とのこと。「山」はその名の通り「山」なので、屋根に木(松)が生えているわけね。一方、「鉾」はその中心にそびえ立つ木の上に「長刀」(なぎなた)とか、色々なシンボルが掲げられている。でも、「船鉾」とか、形が名前になっているものもある。

祇園祭の歴史は古い。さすが京都という感じ。千年以上前、平安時代にさかのぼる。当時、京都で流行した疫病を鎮めるため、神泉苑で六十六本の矛を作り、疫病の退散を祈願したのが始まりとのこと。 その後、社会的、政治的な問題から中止されることも何度かあったが、存続を訴え続ける町衆の熱意により、現代まで継承されてきたという。今では日本三大祭りのひとつ、京都の夏は、祇園祭を抜いては語れない、そんな行事になっている。各町内がひとつの「鉾」や「山」を担当しており、「長刀鉾町」のように、町名がそのまま担当している鉾の名前になっている場合もある。先にも書いたが、この祇園祭、過去二年間はコロナ禍によって、メインになる行事は行われておらす、今年は三年ぶりの復活となる。それだけに、期待も人出も多いと思われる。

夕方一度マンションに戻って、夕食を取る。午後七時ごろ、辺りが暗くなってきたのを確かめ、もう一度外に出て、山鉾のある界隈にも向かう。テレビでは、西日本のあちこちで局地的な大雨が降り、隣の滋賀県には大雨警報が出ている。幸い、京都四条辺りには雨は降って来ない。この現象は、日曜日の山鉾巡行まで続いた。「ラッキー!」やはり、祇園祭には神のご加護があるのかな。ちなみに、巡行の翌々日、京都市内は、幾つかの川が溢れるほどの大雨に見舞われた。

 

カマキリが乗っていて人気のある「蟷螂山」(とうろうやま)」。

 

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