「山崎」のハイボール
京都先斗町にあるレトロなバー「飛鳥」。(「食べログ」紹介ページより)
伏見にある高校から、三条に戻る。そこで、これも高校の同級生のOくんと待ち合わせて、三人で飲みに行くことになっていた。Oくんは、永年大学で化学の研究をされ、数か月前に退官され、今は名誉教授であらせられる。
「Oくん、何時になったら、ノーベル賞取るねん。もう、そのときのテレビのインタビューでどう言うか、考えてあんねんで。こっちも、何時までも生きてられへん。」
などと、同窓会で言われている。
三人は、Oくんが予約してくれた、ちょっと高級そうな居酒屋へ行った。そもそも、U子さんは米国にお住まい、僕も英国の人なので、店選びは、地元民のOくんに任せるしかない。そこの居酒屋には、日本酒が結構たくさん揃っていた。美味しいと聞いたことがあるが、飲んだことないものばかり。
「『八海山』行こ!」「次は『獺祭』!」(他のは名前を憶えていない。)
僕たちは、順番に違った日本酒を注文し、飲み比べ。どれも美味かったが、「八海山」が一番かな。新潟の酒だが、海外でも人気の酒らしい。刺身をつまみながら、日本酒の名酒を飲む、海外生活者には応えられない時間だ。
居酒屋を出てからの二軒目の店は、これもO名誉教授御用達の先斗町の小さなバーだった。中は五十平米くらい、カウンターだけ、白いジャケットに蝶ネクタイのマスターが独りで仕切っているという、由緒正しい「日本のバー」であった。
「わあ、レトロなお店!」
着席するなり、Oくんがマスターに注文する。
「『山崎』のハイボール三つ!」
「ええっ、『山崎』ってメッチャ高い酒ちゃうの?」
「それを、ハイボールで飲むの?」
僕とU子さんが驚く。
「それが贅沢っちゅうもんや。美味いで。」
とOくん。実際、「山崎」のハイボールは・・・美味かったあ!Oくんが注文した「あて」(つまみ)が、「コンビーフ」と「イワシの油漬け」。これも、すごく懐かしい味がした。僕はハイボールが好き。しかし、たいていは「角瓶」。それ以上の酒では試したことがなかった。U子さんは、
「『角瓶』はハイボールのために存在する。」
と主張している。
十時ごろにバーを出る。このまま帰ると僕が予想していると、
「カラオケ行くよ!」
とすっかりテンションが上がったU子さん。それから僕たちはカラオケボックスに行った。
レバートリーはひとつだけ。チューリップの「心の旅」。