エピローグ
真ん中がスコット大佐。この写真は遺体と共に発見された。
蛇足となるが、英国人と馬に関する逸話を紹介したい。
一九一二年、南極点に到着しながら、帰路遭難した英国軍人、スコット大佐についてである。その年、ノルウェーのアムンゼンとスコットは、争って南極点への到達を目指していた。結果的に、アムンゼンが一カ月早く南極点到達を果たし、失意のスコットは帰り道で遭難し、遠征隊のパーティー全員が死亡する。アムンゼンは、荷物の運搬のための橇を引くのに犬を使用し、スコットはポニーを使用した。結果的に、犬の方が正解だった訳だ。
しかし、僕の言いたいのは、ふたりの動物に対する考え方の違いである。アムンゼンは、犬に橇を引かせた。食料の分だけ、毎日橇は軽くなる。引くのに必要な犬の数も減る。アムンゼンは、不要になった犬を射殺し、残っている犬の食料にした。実に合理的な考え方である。しかし、英国人のスコットは、最後までポニーを殺して自分たちの食料にすることは考えなかった・・・
もう、コメントは不要であろう。
それと、僕のエッセーに何度が登場したシェットランド・ポニーについて述べておきたい。彼らは、とっても可愛くて、僕の友達なのだ。
「背丈が一メートル未満の馬」
「大型犬より小さい馬」
そんなものがいるのか、実は僕も、自分の目で見るまで信じられなかった。しかし、存在するのである。
シェットランド諸島は英国の最北端にあり、スコットランドまでの距離と、ノルウェーまでの距離がほぼ同じくらい。シェトランド・ポニーは、そこに生まれたポニーの一種である。ウィキペディアによると、
「シェトランド・ポニーの背丈の最低は二十八インチ(七十一センチ)、公式の最大高四十二インチ(百七センチ)である。 シェトランド・ポニーは非常に厚い毛皮と短い脚があり、非常に頭が良い動物と見なされている。
彼らは非常に強い種類のポニーで、乗馬、車引き、荷物の運搬の目的で使用される。」
「非常に強い」というのは理解できる。過酷な島の自然の中で鍛えられ、スコット大佐が南極まで連れて行ったくらいだから。
二週間ほど前、BBCでシェットランドのドクターのドキュメンタリーをやっていた。孤島であるので、医者は飛行機やヘリコプターで往診をしていた。二〇一九年、新しい年を迎えたが、今年は是非、僕の「友人たちの出身地」、シェットランド諸島を訪れてみたい。
<ひとまず了、間もなく続編を予定>
(2019年1月)