二日間の休日
天気の良い日、シャンゼリゼの脇の公園で遊ぶパリっ子。
金曜日のお昼はアーロンとロワシー・ヴィレッジのカフェで食べた。現在、ロワシーの大部分が空港の設備と、ホテル群で占められているが、町自体は昔からあったわけである。そんな古くからある街並みは、明るい色の石造りの建物と、石畳の道が結構良い雰囲気を出している。
カフェの中が混んでいたので、外のテーブルで食べた。この季節、外で昼食が取れるというのは珍しい。風は少し冷たいが太陽の光が暖かい。スキー場のテラスで食べているみたいな感じ。雲ひとつない、抜けるように青い空。
「良い天気だね。」
とアーロンに言う。
「明日の土曜日も、明後日の日曜日も。もっと寒くなるけど天気は良いって。」
アーロンがビールを飲みながら言った。会社の社員食堂にワインが並ぶフランスは、別に昼にビールを飲むことは普通なのである。
「でも、明日は仕事だからね。」
とミネラルウォーターを飲みながら僕。
「残念だね。」
とアーロン。
貨物は今週中に登録を終え、月曜日からは出荷を始めなければならない。予定では土曜日も仕事をすることになっていたし、僕もそのつもりでいた。
夕方五時ごろ、ムッシューVに、
「明日は何時からやるの。」
と聞いてみる。
ムッシューV:「明日は土曜日だから働かないよ。」
ええ、話が違うじゃん。あんたが土曜日も働くと言ったから、僕は週末もこちらにいる日程を組んだのに。
僕:「それで、明日、明後日、僕は何をすればいいの。」
ムッシューV:「モト、君はまだパリを見てないんだろ。パリ観光に行ってといでよ。」
僕:「ラッキ〜。」
僕はこれまでフランスやパリに何度も出張している。しかし、いつも「ホテル−空港−オフィス」という「魔の三角地帯」から逃れることはできなかった。
「モトさん、パリへ(これはウィーンでもどこでもいいのだが)行って来たんだって、良いですねえ。それでどこを見たの。」
「空港、ホテル、会社。」
「ええ、もったいな〜い。」
そんな会話が家族や友人との間に何度繰り返されたことであろうか。
昼間、カフェの店内は満員で、結構沢山の人が外で飲んだり食べたりしている。