アーサー王とたこ焼きパン

 

海の上に浮かぶ島に建てられたというユニークなティンタジェル城。右側の橋を渡って入って行く。

 

今回、ほぼ毎日、海岸沿いをトレッキングしていたが、一日だけ「観光地」を訪れた。それがティンタジェル城である。スミレの友達がそこを訪れ、とても良かったということなので、火曜日に訪れてみることにした。入場は予約制で、二日前にミドリがインターネットで申し込んでいた。

僕たちが滞在しているポート・ガヴァーンから車で四十五分くらい。ティンタジェルの町に入ると、土産物屋、民宿、レストランなどが並んでいる。

「わあ、観光地やん。」

結構、有名な場所らしい。町に入ると、道路標識や看板が英語とウェールズ語の二カ国語表示になっている。もう、ウェールズとの「国境」に近いんだ。ティンタジェル城は、島の上に作られた、かつての城砦の廃墟であった。

 鉄のロープで支えられた橋を渡り、島に渡る。その日は天気が良く。海の色が美しい。

「ホント、ギリシアに来たみたい!」

廃墟と青い海。写真を撮って、ギリシアの島、例えばミコノスの写真だと言って見せれば、疑う人はないような気がする。十三世紀に作られた城は、遺構はほとんど残っていない。しかし、崩れた城跡が、自然の岩や草地と、見事にマッチしていた。そして、ここは、「アーサー王伝説」ゆかりの場所だという。

この「アーサー王ゆかりの場所」というのに、英国を旅行していると、やたら出くわす。「アーサー王伝説」とは中世の騎士道物語。基本的に、「伝説」、「言い伝え」であるので、「桃太郎」や「赤ずきんちゃん」と同じレベルだと僕は思うのだが。実在を証明する証拠があるという人もいる。現在、「アーサー王伝説」して一般に知られているのは、アーサー王を中心にした騎士の物語で、中世後期に完成し、トマス・マロリーという人がまとめたということである。ウィキペディアによると、大きく四つの部分に分かれているという。すなわち、

1.      アーサーの誕生と即位。ローマ皇帝を倒し、全ヨーロッパの王になるまでの物語。

2.      アーサー王の宮廷に集った円卓の騎士達の冒険とロマンス。

3.      聖杯探索。最後の晩餐で使われたという聖杯を円卓の騎士が探す物語。

4.      ランスロットと王妃グィネヴィアの関係発覚に端を発する内乱、王国の崩壊とアーサー王の死、コンスタンティンへの王位継承の物語。

城を観光した後、本土側の岸に渡って、ピクニックをする。昨夜、例の魚市場でイカを買い、イカとネギの搔揚げを作った。その搔揚げは、出汁ではなくウスターソースで食べる。これは僕の母がよく作っていたもので、僕にとって懐かしい味。妻が、残った搔揚げを、何とサンドイッチにしていた。トンカツソースが掛かっている。これが、まあ、ほっぺたが落ちるほど美味かった。日本に「焼きそばパン」があるが、そんな感じ。日本には「たこ焼きパン」まであると聞いたけど、本当?ピクニックの後、太陽の当たる斜面で、お腹の膨れた僕は眠ってしまった。

 

良い景色の中で食べる昼ご飯は格別に美味しい。

 

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