フラダンスの犬?
やはり同じベルギー、広場の景色は、ブリュッセルのグランプラスと似ています。
私の予約しておいたホテル「デ・カイザー」は駅の真ん前、駅の出口から歩いて二十秒の距離にありました。ホテルのフロントでは、二人の男性と一人の女性が働いていました。女性とひとりの男性は「ポパイ」がかぶっているような水兵帽を、もうひとりの男性は白い船長の帽子をかぶっていました。どうも、町で行われている「ボートレース」にちなんだもののようです。
「今『ボートレース』をやっているのですか。」
とフロント係に尋ねてみました。
「はい、港に沢山帆船が泊まっているので、見に行かれたらどうですか。」
とのこと。
「え、帆船!?」
どうもテムズ河で行われるようなレースではないようです。
部屋に荷物を置いて、フロントでもらった地図を持って外にでました。スラックスと革靴という恰好は、観光にはイマイチですが、出張でワンセットしか着るものを持ってきていないので仕方がありません。ホテルを出て、左へ向います。地図によると、その道はオールドタウンを通ってスヘルデ河の岸まで通じていること。ベルギーは、フランス語圏とオランダ語圏に分かれています。ブリュッセルはフランス語圏で、街の標識等はフランス語。私はフランス語ができないので、何が書かれているのかチンプンカンプン分かりません。電車で四十分ほど走っただけですが、オランダ語圏に入ったようで、街の標識や看板がオランダ語になりました。オランダ語はドイツ語と似ているので、ドイツ語を話す私には、書いてあることが大体理解できます。言葉が分かる場所にいると、本当にホッとするものですね。
途中「ルーベンスの家」の標識が見えました。画家のルーベンスはこの長らくこの町に住んでいたとのこと。彼の家も是非訪れてみたいものです。ルーベンスの絵はロンドンの「ナショナル・ギャラリー」にも何枚かありますが、とにかく皆でかいのです。ところで、ルーベンスの名前は、小学生の頃から知っていました。
「ルーベンスが見たいよ〜。」
そうです、「フランダースの犬」の中で、主人公の少年ネロが見たがっていたのは、ルーベンスの絵でした。ちなみに「フランダース」あるいは「フランドル」というのは、この地方の名前です。昔、小学生の頃「フランダースの犬」を間違って「フラダンスの犬」と覚えている友人がいました。そりゃ、確かにハワイにも犬はいますけど、踊りは期待しすぎではないでしょうか。
なかなかレトロな路面電車が走っています。市電の走っている町って、情緒がありますよね。広い通りを横断すると、両側が商店街になり、歩行者天国になっています。両側には、結構高級そうな店が並んでいます。右手前方に、「カシードラル、大聖堂」が見えてきました。大聖堂の横が広場になっています。商店街の中にファン・ダイクの銅像があり、大聖堂の広場にはルーベンスの銅像がありました。どちらも、フランドル派を代表する画家です。
大聖堂の前に立つ、ルーベンスの像。どちらもアントワープ観光の目玉です。