同窓会

 

 

鴨川の河原でフォークダンス。残念ながら僕は参加していない。(堀井憲一郎さん撮影)

 

 息子の披露宴が九月の最後の日曜日に決まった時、僕は、翌週末まで日本にいることをに決めた。中学校の同窓会が翌週の土曜日にあるからだ。何と、僕の中学の同窓会は、毎年、「体育の日のある三連休の最初の土曜日」に開かれている。いつもは中学校のキャンティーンを借り、そこで、授業、ホームルーム(茶話会)があり、給食(宴会)、課外活動(二次会)へと進む。まことに予想しやすい、計画に組み込みやすい同窓会なのである。

今年は、中学校のキャンティーンが改装中ということで使えず、鴨川の河原で「ハンカチ落とし」と「フォークダンス」をした後、木屋町にある料亭で宴会、そんな案内が来た。フォークダンスには、「オクラホマミキサー」と「マイムマイム」と書いてある。

「大丈夫やろか。怪我人が出んといいんやけど。」

と僕は案内を見てまず考えた。僕たちの歳になると、身体能力的にまず落ちるのが「ジャンプ力」と「中腰の姿勢の維持」である。京都にいたとき、何度か、鴨川まで「ラジオ体操」に行ったが、参加者は確実に僕よりも年齢が上の方ばかり。

「足を揃えて両足跳び〜!」

というところで、完全に足が地面から離れている人はまずいない。ジャンプの必要な「マイムマイム」、中腰の姿勢で走り、即座に立ったり座ったりする「ハンカチ落とし」は、六十歳を過ぎた僕たちには、ちょっときついではないかと思った。

 残念ながら、所用があり、鴨川の河原でのプログラムには参加できず、木屋町にある料亭での宴会から参加した。参加者は三十人くらい。先生方も三人参加されていた。

「フォークダンスと『ハンカチ落とし』、面白かったよ。モトくん、何で来いひんかったん?」

と前に座った、Iさんが言った。

「大丈夫やった?皆、ちゃんと出来たん?」

「ハンカチ落としは走るのは禁止!オクラホマミキサーはメンバーチェンジのところを誰も覚えてなかった。その後、『青春のフォークソング』を歌ったのも良かったよ。」

とのことだった。まあまあ、怪我人がなくて良かった。

同窓生には、実に色々な職業の人がいる。京都に残って家業を継いだ人もいるし、外に出た人たちもいる。六十を過ぎて、ボチボチ外から戻って来た人もいる。「バリバリの現役」は少なくなってきており、皆一歩退いて、ちょっと「枯れた」感じになってきており、前に比べると随分話しやすくなった。色々な職業の方がおられるが、「歌手」をやっている女性は出色。ボサノバを唄っておられるという。

「自分の表現手段があって、相手の反応を直ぐ知ることが出来るって、素晴らしいよね。」

と僕は彼女に言った。「歌手」はその通りだという。

「でもそれって、料理にも通じるよね。料理を作ると、食べた人の反応が直ぐ分かるし。」

彼女は、歌手の中に自分も含めて料理が好きな人が多いと言った。なるほどね、音楽と料理、オーバーラップする部分が多いんだ。

 

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